議会報告

  • 竹尾 ともえ
    第344回(令和1年6月)定例県議会 一般質問(竹尾ともえ議員)

    1 待機児童対策について

    (竹尾県議) 公明党は、私費による家計負担が多い現実を踏まえ、安心して産み育てられる社会を構築するため、幼児教育・保育の無償化を一貫して訴え続けてきた。その結果、幼児教育・保育の無償化が実現することとなり、子ども・子育て支援法が改正され、本年10月からスタートする見込みである。

    具体的には、幼児教育・保育を受ける全ての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児の計約300万人が無償の対象となる見込みである。幼稚園・認可保育所、認定こども園の利用料を原則無料とし、補助額の上限があるなど一定の条件はあるものの、認可外保育施設や幼稚園の一時預かり事業なども無償化の対象とすることとなっている。

    しかし、幼児教育・保育の無償化が推進されているとはいっても、その前提として保育所や認定こども園に入れないことには、実際に保育が必要な方にその恩恵が届かない。

    今年の4月1日現在、兵庫県の待機児童は5年ぶりに減少に転じ、昨年の同時期より419人減少したものの、未だ1,569人もおり、県の待機児童解消の目標時期は、ずれ込む見込みである。昨年度中に県内の保育所等の定員は4,657人増加したにも関わらず、利用申込者も対前年比3,237人増加しており、保育ニーズの高まりに、行政が対応しきれていない現状がある。「待機児童対策」は幼児教育・保育の無償化と並ぶ車の両輪と捉え、両方ともに進めていくことが重要である。

    現在は、各市町とも積極的な施設整備に力を入れて待機児童対策に取り組んでいるが、将来、人口減少が続く中にあってはハード面だけの対策に頼るのではなく、他の取組についても考慮していかなくてはならない。待機児童対策として、政府が整備を進める「企業主導型保育所」の全1,420施設の定員に占める利用児童の割合(充足率)が、2019年1月の内閣府の発表では、平均で6割程度にとどまり、40%が空きの状態であるとのことである。定員割れの影響が、経営状態の悪化につながり、結果として休園になってしまい、各地域の問題となっていると聞きている。

    児童を受け入れる余裕がある企業主導型保育所の保育の質の向上を図るとともに、積極的に活用していく必要がある。また、私も推進させていただいたが、私の地元の西宮市では、私立幼稚園に「協力幼稚園」になってもらい、待機児童を対象とする「預かり保育」を行う事業も展開しているが、市町の取組も進んできている。

    本県でも様々な待機児童対策に取り組んでおられるが、10月からの幼児教育・保育の無償化を見据えた「待機児童対策」は喫緊の問題である。これまでの取組に加え、待機児童ゼロを目指した、一層の取組が必要であると考える。今後、待機児童対策にどのように取り組んでいくつもりか。

    (井戸知事) 触れていただいたように、待機児童は1,569人残ってしまったが、4,657人の受け皿を拡大した。令和元年も約3,000人の受け皿拡大に取り組んでいく。そのためには、まずは、当然保育所等の整備。2番目としては、既存の保育所等の定員弾力化による受入支援を行っていく。3番目には、保護者の預かり保育のニーズに対応できるように、私立幼稚園における預かる保育への支援を拡大した。

    今年度は、新たに企業主導型保育事業を促進するため、開設・運営に関する相談を強化したり、あるいは、先行する好事例の紹介等を実施する開設支援窓口を設置することにした。また、空き定員を活用して、新たに地域の保育が必要な子どもを受け入れる事業者を支援する助成制度を創設している。このように、保育の受け皿拡大にしっかりとこれからも取り組んでいく。

    また、保育人材の確保を図る必要がある。国には機会あるごとに配置基準の改善や公定価格の引き上げの要望を行っている。県単独事業としては、職員の配置基準以上に配置している保育士に人件費の支援を行っている。昨年度からは、国の処遇改善加算の対象外である中堅保育士にも技能や経験に応じた処遇改善を実施してきた。

    (竹尾県議(再質問)) 企業主導型保育開設支援窓口について、どういうものか詳しく聞きたい。

    (井戸知事) 企業でようやく従業員のための保育所を作る機運が生まれてきているが、ただどのように作ればいいか、ノウハウを持っている企業が少ないので、そのような意味で開設や運営に関する相談ができる窓口、あるいは好事例を紹介する開設支援の窓口を置いていく。

    2、食品ロスの削減について

    (1)食品ロス削減に向けた普及啓発の推進について
    (竹尾県議) 先月24日、食べられる食品の廃棄の抑制に国民運動として取り組むための、いわゆる食品ロス削減推進法が参議院本会議で可決され成立した。この食品ロス削減推進法は、公明党が2015年12月に党内プロジェクトチームを立ち上げ、食品業界やフードバンクの関係者と幅広い議論を重ねて意見集約を行い、2017年に法案骨子を作成したもので、それから2年かけて成立した。

    具体的な施策としては、消費者や事業者等が食品ロスの削減について、理解と関心を深めるとともに、それぞれの立場から取り組むことを促進するような普及啓発、食品ロスの削減に関し顕著な功績があると認められるものに対する表彰の実施、いわゆるフードバンク活動への支援などに取り組むこととしている。また、大手コンビニ各社は、ポイント還元による食品の実質的な値引き販売や、季節商品を完全予約制にするなどの取組を進めようとしている。

    県は、家庭系ごみの排出抑制目標の達成に向け、食品ロスを2014年度比で2020年度の20%、2025年度に30%削減することを打ち出し、30・10(さんまる・いちまる)運動やフードバンク事業の取組支援など、食品ロスの削減に取り組んでいるところだが、今後は食品ロス削減推進法成立の趣旨に則り、一層の取組の強化が必要ではないか。

    企業の自主的な行動に加え、その取組を推進することと同時に、国民運動として食品ロス削減を推進するために消費者に対しても参画と協働による取組を働きかけることが必要ではないか。そこで県として実効性のある食品ロス削減の実現に向けた普及啓発の推進について、どのように取り組んでいくつもりか伺う。

    (松森女性生活部長) 本県では「兵庫県消費者教育推進計画」を策定し、その重点取組項目として、エシカル消費に関する消費者学習や啓発の取組を強化している。特に食品ロスの削減については、消費者団体による意識調査や削減に向けたアイデア集の作成のほか、生活協同組合によるキャンペーンの実施など、一定の取り組みが進んできている。

    さらに今年度は、7月にリニューアルオープンする消費生活総合センターに、消費者学習の拠点となる「消費生活情報プラザ」を新たに開設して、環境教育や食育等に取り組む団体にも活用いただき、食品ロスの削減に向けた参画と協働による一層の取組を推進していく。また、9月には消費者庁と共催で開催する啓発イベントや県内各地でのリレーイベント等を通じて、食品ロス削減に向けた機運を更に高めていく。

    本県では、これまでから30・10運動やフードバンク活動の推進に取り組んできた。加えて、今回の食品ロス削減推進法の制定を契機に事業者への働きかけを強化するとともに、消費者団体や生活協同組合等と連携して、より多くの県民において、食品ロスの削減に対する意識が一層高まるよう推進していく。

    3、ホームドアの整備について

    (竹尾県議) 本県でもJR三ノ宮駅などでホームドアの整備が進められている。しかし、私の地元西宮市では、ホームドアの計画も整備も進んでいない。特に阪急電鉄西宮北口駅については、住民の方や高齢者、視覚障害団体などからも強い要望がある。1日あたりの平均利用者数が10万人以上ある西宮北口駅は、大阪、神戸の中間地点でもあり、南北に今津線が通っている交通の要衝でもある。また、近くには県立芸術文化センターや大型ショッピングセンターなども立地しており、他地域からの駅の利用者も多くホームドアの早期設置の必要性を強く感じる。

    また、次に要望が多いのは、阪神電鉄甲子園駅である。甲子園球場で試合観戦する方が多く利用し、試合が開催されるときには、高齢者や子どもも含めて一度に多くの方がホームに上がられることもあり、中には飲酒している方もいる。リニューアル工事が行われて広く使い勝手のいい駅になったとはいえ、現状を鑑みるとホームドア設置は急がれる。

    国のホームドア整備基準となる1日あたりの平均利用者数が10万人以上である、西宮北口駅はもちろん、それに満たない場合でも地域 の実情に応じて、必要とされる場合には整備を推進するべきである。そこで、整備に対する考え方と今後どのように取り組むつもりなのか所見を。

    (出野上まちづくり部長) ご指摘の阪急西宮北口駅については、平成29年度末に乗降客数が10万以上となったことから県としても事業者に対し、ホームドア整備の実現に向けて働きかけていく。

    一方、阪神甲子園駅は鉄道駅総合改善事業により、エレベーター設置やホームの拡幅等を行い、安全性・利便性が向上している。なお、ホームドア設置については、阪神と近鉄の車両が停車しそれぞれの車両の長さや扉位置が一定ではないため、現時点では技術的な改良が必要であると事業者から聞いている。

    県としては、10万人未満の駅であっても転落事故の発生状況等を勘案し、10万人以上と同程度に優先的整備が必要な駅については支援の対象としている。乗降客数約5万人の阪神甲子園駅については、ホームドアの設置技術の進展を注視しつつ、駅の利用状況も踏まえ事業者と共に、設置に向けて検討していく。

    4、名神湾岸連絡線の整備について

    (竹尾県議) 現在、阪神南地域社会基盤整備プログラムに従って、平成26年度から高潮・津波対策として、新川の水門工事が進められており、引き続き統合排水機場の事業に着手するなど、該当地域周辺では複数の大規模事業が続くことになる。整備予定の道路は、市街地と海上を横切る巨大な高架構造になることもあり、住環境や景観に対する影響が大きいことから、都市計画の手続きを進める段階から環境や景観に十分な思慮をしてほしい。

    そのような事情から、地域住民は早ければ今年の夏にも市の都市計画審議会で示される予定のルートについて、関心を深めている。特に、名神湾岸連絡線ができた後の「まちづくり」について心配する声も聞いている。そのことからも、地域住民へは環境影響評価や都市計画の手続きの中で、地域住民が意見を言えるよう、わかりやすく丁寧に説明することが大切だ。県として、名神湾岸連絡線の整備を今後どのように進めていくのか。

    (井戸知事) 環境については国が、昨年度から県条例に準拠した環境アセスメント手続きに着手して、昨年8月に現況調査や影響予測、評価の方法について地元説明会を実施した。現在、現況調査、影響予測等を進めており、結果をとりまとめた上で地元説明会を行い住民からの意見を聴き、環境の保全対策を決定していく。

    景観やまちづくりについては、まずはルートと幅員が課題である。本年3月に国からルート計画案の提示があった。これを受けて、現在、西宮市が都市計画の素案を作成中である。市の都市計画審議会でルート等を審議のため報告したのち、地元説明会を行うこととしている。その後、市からの申し出を受け県が都市計画案を作成・縦覧し住民の方々からの意見を聴いたうえで、県の都市計画審議会を経て決定することになる。

    さらに、事業実施には事業者が詳細の構造を検討し、地元説明会を実施していく。県としては、市街地や海辺を通るルートであるので、まちと調和した景観で地域分断が生じにくい構造となるよう、西宮市とともに先進事例の収集や地域特性の把握などを進めて、事業者に対しても構造等を提案していく。

    5、県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編について

    (竹尾県議) 県と西宮市は、今年1月に「兵庫県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編基本協定」を締結した。今後、基本計画の策定が進められる中で、病院の具体的な体制等が決定されてくると思われるが、この間、西宮市はじめ周辺住民は「西宮病院や中央病院はどうなるのか」と不安に思ったり、心配もされている。

    しかるべき段階で、住民への説明会やパブリックコメントが行われると思うが、新病院整備の方向性や計画については、できるだけ早期に住民にお知らせし、新病院への理解を深めていくことによって、住民に愛され、見守ってもらえる病院となる。地元西宮の住民からの要望や指摘なども踏まえ、特に重要だと思う点について、述べさせていただく。

    まず、救急医療の充実について。現状の稼働病床は県立西宮病院が400床、西宮市立中央病院が193床、単純に合計すると593床の大きな病院となる。規模にあった救急医療を担う医師の確保や救命救急センターの整備など、救急医療の充実に力を入れていただきたい。また、ヘリポートを設置し、公明党が全国で推進しているドクターヘリの一層の活躍をすることも必要だと考える。このヘリポートの設置については、防災機能の強化の点からも重要である。

    次に診療機能の充実である。心臓血管外科等の不足している診療機能の充実に加え、がん対策の推進などが望まれる。女性の視点から申し上げると、女性専用外来の設置や産科・小児科の医療体制の整備、宿泊型の産後ケア事業の導入など、女性にとっても安心して利用できる病院になっていくことが期待される。

    最後に、病院周辺環境の整備について、新病院が建設される予定のアサヒビール西宮工場跡は最寄駅が阪神国道駅だが、駅舎の老朽化が進んでおり、車いすの患者や妊婦・高齢者・障がい者などの利便性向上を考えた、新たな整備の費用性も考えられる。

    また、予定地がJR神戸線の線路沿いに立地している。当該地区周辺は、歩行者や自転車が安全に横断できる道路がないため、名神高速道路の西側付近に線路をまたぐ形の南北道路の開通による交通環境の整備が必要であると考える。西宮市や阪急電鉄・JR西日本などの交通機関と調整したうえで、できるだけ速やかに新病院へのアクセスを確立しなければならない。このことは、救急搬送経路の確保や通院される方のための交通網の整備とあわせ、早期着手が必要である。

    以上のような課題を踏まえ、今後両病院の統合再編基本計画をどのように進めていくのか。

    (長島病院事業管理者) あり方検討委員会からも
    ①不足する診療科の充実による救急医療体制の強化
    ②産科・小児科の診療機能充実
    ③ヘリポートや免震構造等の災害に強い施設整備など多岐にわたる課題に対応するため、両病院を統合し新用地に新病院を整備することが望ましいとの報告を受けている。

    今年度は統合再編基本計画を策定することとしているが、これらの課題に対応するため、関連大学とも十分調整を図りながら新病院の診療機能充実に努める。その中で、がん医療をはじめとする高度専門医療を提供する県立病院にふさわしい機能を備えつつ、女性の視点をも大切にした病院整備にも意を用いていく。

    また、計画策定にあたっては早い段階から有識者や地域の医療関係者・住民代表等で構成する「統合再編検討懇話会」を開催し、ご意見を伺うとともに、計画案に対するパブリックコメントを実施する。

    なお、阪神国道駅からのアクセス等の周辺整備についても西宮市と連携し関係機関とも十分協議し検討していく。今後も県民の理解を深めながら圏域における中核的な医療機関としての新病院整備を早期に進めたい。

    6、特別な支援を必要とする児童生徒への自立と社会参加に向けた支援体制について

    (竹尾県議) 県が平成31年3月に定めた「兵庫県特別支援教育第三次推進計画」に基づき、自立と社会参加の実現に向け様々な取り組みを推進しているが、更なる取り組みの強化を図ると共に、ハローワークや企業等との連携の強化などを一層推進していくべきである。

    個々の子どもたちの特性を生かしつつ、子どもたちが学校卒業後も社会の一員として働き、充実した生活を送っていくためには、在学中から職業的自立を見据えたキャリア教育の視点を踏まえた支援体制を構築し、就労後も職場に定着できるような形になっていくことが、結果的に障がいのある生徒や保護者だけでなく社会全体への貢献につながるのではないか。

    県として特別な支援を必要とする児童生徒への自立と社会参加に向けた支援体制について、現状と課題、今後の取り組みについて伺う。 (西上教育長) 特別な支援を必要とする児童生徒に対しては、一つには卒業後の生活を見据えた個別の教育支援計画等を作成し、就学前から卒業後まで確実に引き継ぐこと、二つ目は児童生徒が社会で適応できない場合に、本人・保護者が相談できるという支援体制が求められている。

    昨年度策定した、兵庫県特別支援教育第三次推進計画では、特に次のような観点から体制づくりとして就職に向けた支援体制の構築を進めていくこととしている。1点目は、特別支援教育コーディネーターや担任が本人及び保護者に対して就職後の生活を見据えて就労支援機関等の情報を適切に助言できる体制をつくること。

    2点目は、個別支援会議等で本人及び保護者とハローワークなど関係者が直接顔を合わせて個別の教育支援計画を着実に就職先に引き継ぐ体制をつくること。3点目は、就職先での定着を進めるため、就職支援コーディネーターを活用し、企業等との連携体制を作ること。この3点に取り組む。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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