議会報告

  • 島山 清史
    第344回(令和1年6月)定例県議会 代表質問(島山清史議員)

    1、「若者が選ぶ兵庫」を目指した地域創生戦略の見直しについて

    (島山県議) 県では、これまで若者の県内定着及び県外からの環流を目的とした「次世代の兵庫県を担う若者の定着・環流に向けた地域創生PR事業」や地域中小企業と若者の雇用マッチングを図るなど、様々な取組を行ってきたが、若者の人口流出が止まらないのは、若者のニーズを的確にとらえた、そのニーズに合った対策が充分にとられていないということではないか。若者の視点に立った地域創生戦略が必要である。

    県の党青年局長として、地域創生について、県下の若者層から意見をいただくことがあるが、その中からいくつかの課題を取り上げてみたい。

    まず、働く場の確保の問題。県は本社機能移転策に取り組んでいるが、本社機能の全面移転は少なく、研究部門などの拡充が多くなっており、インパクトのある雇用の場の創出につながっていない。思い切った優遇装置等の検討も必要ではないか。 次に、まちづくり。若者が住みたいと思う、新たな発見に出会う、魅力のあるまちが形成されていないのではないか。神戸をはじめ阪神間の自然環境は、山と海が近接する、世界に誇れる素晴らしい景観を持っていながら、それを生かし切れていない。「都市機能と自然環境のバランス」がとれれば、世界からももっと多くの若者を呼び寄せられるポテンシャルを持っているのに、残念である。

    昨年の私の一般質問でも、こうした課題の解決について、徳島県や長野県、山形県などで行っている、県の審議会等における若者委員の登用の制度化や若者対策専門官などの設置を知事に提案した。若者の声を積極的に取り入れる仕組みづくりに取り組んでいただきたい。

    「若者が選ぶ兵庫」を目指して地域創生戦略の見直しを図り、若者を引き付けるような各般の施策に取り組む必要があると考えるが所見を伺う。

    (井戸知事) 近年の若者の人口流出の主因は、第一に大企業の事務職や専門・技術サービスなど、若者のニーズにこたえる仕事が兵庫に不足していることにある。神戸のような大都市には商業・業務機能の充実による昼間人口の拡大が求められる。

    神戸は、阪神・淡路大震災の影響で高次都市機能の充実が後手になっていたが、三宮の再開発が緒に就き都心のタワーマンションを規制し、商業・オフィス機能を充実する方向性が示されている。さらに、県庁周辺整備でも一定量の業務集積を創りだしたい。次期戦略では、こういった都心空間を活用し、産業立地条例による本社機能や事務所棟の誘致、知的交流を促すコワーキング集積支援、起業・創業支援などを強化していく。

    一方で、多くの若者が丹波篠山や淡路などの多自然地域への移住を志向している。スキーや海水浴等が楽しめる豊かな自然と大都市との近接、御食国と呼ばれる豊かな食材、多彩な芸術文化施設など、兵庫の居住環境の良さはUJIターン希望者にとって大きな魅力となっている。次期戦略では、こうした五国のポテンシャルに磨きをかけると共に、e―県民制度等も活用し、若者が求める情報をダイレクトに届け、定着・環流を促進する。

    次期戦略の策定にあたっては、30代から40代の若手有識者を登用するとともに、地域創生やコスチュームやひょうご若者ビジョンフォーラム等を活用し、若者のニーズを汲み上げていく。

    2、児童虐待防止の推進について

    (島山県議) 今月はじめ、札幌市で2歳の長女に暴行を加え、死亡させたとして当該児童の母親とその交際相手が逮捕された。今年の1月に発生した野田市の児童虐待死亡事件後、国をあげて児童虐待防止に取り組むこととされており、国会でも児童虐待防止法と児童福祉法の改正案が審議されている中で、またしても悲劇が繰り返された。

    野田市の事案とは異なるが、札幌市の事案においても児童相談所や警察が関与していながら、幼い子どもの命を救うことができなかった。昨年3月の東京都目黒区の事案を受けて、国は虐待通告から原則48時間以内に安全確認できなかった場合、立ち入り調査を実施するという対策を進めている。

    児童相談所はこのような対応をとっておらず、認識が甘かったと釈明しているとのことだが、憤りを覚える。また、親子と面会しようとした警察の二度にわたる同行要請に対し、児童相談所は夜間の人員不足などを理由に断っていたとのことで、警察と児童相談所の連携促進や児童相談所の一層の体制強化が急がれることの証左ではないか。

    2月定例会の代表質問で、我が会派の岸本議員が千葉県野田市の事案を取り上げ、児童虐待への対応について質問した。その際にも、指摘しているが、今後、児童相談所や警察、学校等の関係機関の対応の誤りによって幼い子どもの命が奪われるようなことがあってはならない。

    全国の児童相談所における虐待対応件数は年々増加しており、平成29年度では、前年度より1万件以上増え、13万件を超えている。このうち県(神戸市を除く)では、平成29年度は前年度より749件増の3616件となっている。これは、統計を取り始めた平成2年度以降、過去最多の数値である

    現在、国会で審議されている児童虐待防止法と児童福祉法の改正案では、親権者らによる体罰禁止を明記するとともに、児童相談所の子どもの一時保護を担当する部署と、保護者の相談を受ける部署を分け、虐待事案への対応力を高めることを盛り込んでいる。また、児童相談所には医師・保健師も配置するとしている。改正法は、今国会での成立が見込まれている。

    児童虐待件数が増加する中、対応にあたる県下の児童相談所の職員の充分な配置、とりわけ専門知識を有する専門職の確保、児童の一時保護が必要な場合の児童を受け入れる態勢の強化など課題は山積している。児童虐待防止の推進について今後どのように取り組んでいくのか。

    (井戸知事) 本県では、こども家庭センターが市町や警察、学校等関係機関と連携し、子どもの安全確保を最優先に児童虐待相談に対応している。具体には、警察、学校を含め関係機関で構成する市町要保護児童対策地域協議会への参画により要保護児童に関する情報共有を図っている。さらに、県警察とは協定に基づき児童虐待のリスクの高いケースの情報共有を行っているほか、学校とは校長会等の場を通じて情報共有の協力要請を行うなど、個々のケースへの対応をはじめとした連携体制の強化を図ってきた。

    職員配置については、平成14年度から専門職の「児童福祉司」を計画的に採用するとともに、保護者などからの激しい抗議等に法的に対応するため弁護士や警察OBの配置、また、非常勤嘱託医及び保健師の配置も行っている。

    今後県では、一層の児童福祉司・児童心理司等専門職の採用・配置を進め、児童虐待への体制強化に努めるとともに、児童福祉法等の改正を踏まえ、一時保護に係る介入的対応と支援との機能分化などについて速やかに対応を検討していく。

    3、農業の収益性の向上について

    (島山県議) 農業就業者の高齢化の問題は、相当以前から提起されており、従前の高齢の就業者がそのまま営農を継続していると考えられ、高齢化というより老齢化といっても過言ではない状況になっている。

    その老齢化に歯止めがかからない要因は、後継者不足にある。また、農家を世襲する次の世代の継承も少なく、新規就農者がなかなか増えない原因は、農業の収益性の低さにある。特に、新規に就農しようとする人にとっては、農業用機械を購入するにも相当な初期費用が必要で、かつコストもかかる中で、さらに低収入となれば就農意欲がわかないのではないか。

    相応の大規模な農業経営で、悠然と経営が行われており、後継者を育成されているところもあるが、一経営体あたりの経営耕地面積が1ha弱と全国平均の半分にも満たない本県の多くの農業者では、そこまでには至らないところが多いのではないか。

    グローバル化の進展や消費者の食習慣の変化などから農業は今、変革期を迎えている。今後、力強い農業を確立し継続的に発展していくためには、県内に消費者や食品事業者を数多く抱える本県の特徴を生かしつつ、経営規模の拡大や野菜などのより収益性の高い作物に転換していくことが、重要である。

    県では、農地の集約化、農業の大規模化を推進するとともに、集落営農組織の法人化等も進められている。また、野菜の栽培には気象条件を一定にできるハウスなど施設園芸の拡大を進めようとされている。さらに、新規就農者向けには農業施設貸与制度も創設されるなど、各般の取組を進めているが、もうかる農業を目指さなければ新規就農者も確保できず、円滑に兵庫の農業を維持、存続する道がないのではないか。そこで、県として農業の収益性の向上についてどのように取り組んでいくのか。

    (金澤副知事) 県では、これまで農業者の収益性の向上を図るため
    ①農業改良普及センターによる作物の栽培技術指導
    ②パイプハウスでの施設栽培の推進③経営管理の基礎知識や販売戦略を学ぶ「ひょうご農業МBA塾」の開催などに取り組んできた。

    農業者の高齢化がさらに進む中で収益性の向上を図り、就農意欲を高めるには
    ①大都市近郊の優位性を生かし、米から施設野菜等へのさらなる転換
    ②雇用や経営の多角化も見据えた法人経営への誘導が必要である。

    このため、施設野菜等へのさらなる転換として
    ①初期投資の軽減を図る農業施設貸与事業を活用し、鮮度を活かした葉物野菜やイチゴ等の導入
    ②ICТの活用で環境制御を可能とするトマト等生産施設の整備
    ③県内に多数立地する食品会社等と若手農業者や集落営農法人との契約栽培を推進していく。

    また、法人経営への誘導では
    ①中小企業診断士等の専門家派遣による経営改善指導と法人設立のサポート
    ②経営の多角化に向けた新品目の導入や加工品開発等の取り組みを支援していく。
    さらに、今年度からは集落間調整を行う支援チームを設置し、複数集落から成る収益性の高い集落営農法人の育成も進める。

    4、スポーツ環境の整備について

    (島山県議) 県はサッカー場のみならず、県内のアリーナ施設も国際大会の開催という視点から見れば、収容人数などに課題がある。例えば、紀平・坂本・三原選手など兵庫県に縁のある選手が活躍する女子フィギュアスケート界だが、国際大会開催に求められる施設の条件のひとつに最低6000席の観客席が挙げられている。

    これまで、国際大会が開催された大阪の「東和薬品ラクタブドーム」は、アリーナ面積が約3500㎡。収容人数は約1万人。埼玉スーパーアリーナは、メインアリーナ面積が約7100㎡で、約22500人が収容できる。広島グリーンアリーナは、アリーナ面積が約3500㎡で約1万人が収容可能だ。

    本県では、最大の収容人数を持つアリーナは、神戸市中央区のワールド記念ホールでアリーナ面積が約3100㎡、収容人数は8千人、西宮市の県立総合体育館は、アリーナ面積が約1800㎡で収容人数は約3500人となっている。全国的にみると小規模の収容人数しかないといえるかもしれない。

    県立総合体育館は築34年が経過し、施設の老朽化も目立ってきている。こうした、既存のアリーナ施設の大規模化を図れば、バレー、バスケット、柔道など、他のスポーツの国際大会誘致の可能性も広がると共に、大型コンサート等の興行収益も見込まれ、生涯スポーツの振興や競技スポーツの向上のみならず、大きな経済効果も期待できるのではないか。

    また、東京にはオリンピックや世界大会で活躍するような選手を育成する大規模施設として、味の素ナショナルトレーニングセンターがあるが、西日本のトレーニングのメッカとなるようなトレーニング施設が本県にあれば、アスリートの育成を行うことができ、様々なスポーツにはげむ若者が集まってくると思う。県としても、国の財源や民間活力を利用しつつ、国際競技大会が可能な施設や県版トレーニングセンターの整備・誘致をしていくことが望ましい。こうした取組を進めることで、地域の活性化やスポーツ立県兵庫の推進に繋がっていくのではないか。そこで、ゴールデンスポーツイヤーズを迎え、県としてスポーツ環境の整備についてどのように取り組んでいくのか。

    (西上教育長) スポーツの環境整備として、ハード面では総合体育館や文化体育館、三木総合防災公園、尼崎スポーツの森、武道館等を整備してる。また、障害者スポーツの拠点として、現在「ひょうご障害者総合トレーニングセンター(仮称)」を整備している。五歩王、ソフト面では、県内の全小学校にSC21を設置すると共に、学校体育施設である運動場や体育館等の活用に取り組んできた。

    今後、ゴールデンスポーツイヤーズを契機として県民が「する・みる・ささえる」といった様々な場面でスポーツに参加する機会が増える中、スポーツへの関心をさらに高めるためには、国際レベルの大会が開催できるアリーナやトップレベル競技者が強化活動に専念できるトレーニングセンターの必要性を感じている。新たなスポーツ環境について検討していく。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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