議会報告

  • 伊藤 勝正
    令和2年2月定例県議会 一般質問(伊藤 勝正議員)
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    1 多胎育児の支援について

    (伊藤県議答弁) 双子以上の多胎妊娠は、近年の不妊治療技術の進展と治療の普及により、この30年間で2倍となったともいわれ、多胎育児の問題も徐々に認知されることとなったが、その支援となると充分とは言えない。

    ある子育て支援団体の多胎育児に関する調査では、「外出・移動が困難」との回答が約9割にのぼった。ファミリー・サポート・センター事業などが展開されているがサポート役の自宅まで行くことが困難なため、その制度を利用できる多胎家庭は少ないことが浮き彫りになった。多胎家庭の自宅に出向いて育児や家事を支援するアウトリーチ(訪問)型の支援や通院や健診時の動向など伴奏型の支援は欠かせない。

    それ以上に重要となるのが、産後の多胎育児支援に結び付けていくために妊娠期から病院や自宅を訪問して創り出す母親との信頼関係である。特に、外出困難な多胎家庭は長期間にわたり孤立する傾向にあり、産後うつになってからの多胎家庭との信頼構築は困難だ。

    ある多胎支援サークルが実施したイベントに参加した妊娠中の家族へのアンケートでは、参加して良かった点として、多くの参加者が多胎育児の先輩から双子がいる暮らしや育児の体験談が聞けたことを挙げている。その家族の多くは産後も支援サークルが開催するイベントへ参加しており、孤立が防止できているといえる。このような活動をされている団体は兵庫県には全国最多の17団体あるが、そのほとんどがボランティアであり頭が下がる思いだ。

    今回の国の多胎育児に特化した支援策は、多胎という言葉を表出し従来からの支援策を拡充・推進しようとするものだが、本県でも実施主体である各市町への財政的な支援や人的支援、アウトリーチ支援など多胎家庭への直接支援や支援団体・ピアサポーターへの活動支援など妊娠期から切れ目のない多胎家庭支援を充実させていくべきではないか。

    (井戸知事答弁) 市町では妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行っている。「子育て世代包括支援センター」が設置され、保健師等が妊娠・出産・育児に関する相談・指導を行っているのが実情である。

    特に支援が必要な多胎育児家庭については、まず、妊娠段階から「養育支援ネット」により医療機関と連携して早期に把握され、対応していくことになる。その次の「産後ケア事業」により育児支援や宿泊による休養の機会等が提供される。そして、専門的相談支援や保育士等による育児・家事援助を行う「養育支援訪問事業」等支援の充実が図られている。

    いくつかの段階でそれぞれ手は尽くされているが、ご指摘のように十分に行き届いていない状況もある。現在、多胎児教室の実施等支援を実施しているのは20市町に限られているが、そのうち7市町が、多胎育児経験者等で構成する自主活動グループ「ひょうご多胎ネット」と連携している。母親の信頼を得やすい多胎育児経験者による支援は有効である。今回の国の支援策として拡充された交流会や訪問相談等を行うピアサポーターとして、これらの方々が活用されるよう市町に働きかけていきたい。

    また、身近な育児相談の場である「地域子育て支援拠点事業」や「利用者支援事業」を活用して多胎育児家庭への相談・情報提供をさらに強化していきたい。

    2 実効性ある豊かな海づくり施策について

    (伊藤県議答弁) 令和3年、第41回全国豊かな海づくり大会が本県で開催されることとなり、地元市の明石市、漁業関係者をはじめ多くの方々が、豊かで美しい海づくりへの大きな一歩となると期待がよせられている。この大会が、豊かな海の重要性とその再生への取組を全国民、全県民に広く知ってもらう機会となるよう、1年前プレイベントなどにより開催機運を高め同一県で全国初の二度目の大会を成功させなければならない。

    平成27年、漁業関係者の悲願でもあった改正瀬戸内海環境保全特別措置法が施行され、海域ごとの実状に応じた管理により豊かな海づくりを進めていくという基本理念が新たに定められ、その理念をいかに実現していくかという新たな段階を迎えた。平成30年には、日本水産資源保護協会が水産動植物の正常な生育および繁殖を維持し、その水域において漁業を支障なく行なうことが出来、かつその漁獲物の経済価値を損なわないための、「水生生物の生息環境として維持することが望ましい」基準である、水産用水基準について「全窒素0.2mg/L以下・全リン0.02mg/L以下の海域は、閉鎖性内湾では生物生産性の低い海域」と改定した。本県の瀬戸内海海域は、この基準を大きく下回る「漁船漁業に適さない海」となり、漁業関係者に危機感が強まった。

    知事は平成30年12月定例会の私の代表質問に対し、瀬戸内海を豊かで美しい海にするための要件として、適切な栄養塩の供給と生物生息域の再生や創出の2つを挙げられているとおり、県では、漁場整備の推進とともに、県下14か所の下水処理場での季節別運転をはじめ、昨年にはその実効性を高めるための栄養塩濃度の目標を設定する環境条例を改正し、あわせて下水処理場のBOD上乗せ排水基準を撤廃した。しかしながら、現実は下水処理場の放流水の栄養塩濃度を高めるだけでは、貧栄養化は解消されず、イカナゴ漁も昨年と同様に不良の恐れがあるとされ、実効性のある施策展開が待ったなしの状況である。

    その実効性を高めるためには、大阪湾北東部沿岸とそれ以外(兵庫県沖含む)との栄養塩濃度の差の解消や更なる栄養塩の供給に向けた施策の展開など、隣接府県や国の関係省庁と連携を図って解決していかなければならない課題も少なくない。先日、国では農水省・国交省・環境省の大臣級による省庁横断の検討会議も行われたと伺っており、県も来年の全国豊かな海づくり大会に向け、実効性のある施策とそれを実行する部局の垣根を越えた更なる取組が不可欠ではないか。所見を伺う。

    (井戸知事答弁) 豊かで美しい瀬戸内海の再生には、安定的かつ継続的な栄養塩供給拡大が必要である。このうち、生活系では下水処理場35カ所のBOD上乗せ排水基準を撤廃し、現在14カ所で取り組んでいる季節別運転の拡大を図っていく。特に昨年度より窒素濃度が高まっている県加古川下流浄化センターでは、さらなる運転方法の改善のほか、施設改善についても専門家の意見を聞きながら検討を進めている。産業系については、県内工場での製造過程や排水処理の見直しなどの取組事例を収集しているので、栄養塩供給ガイドラインの3月末までの完成を目指して、工場の協力も得たいと考えている。

    あわせて、豊かな森づくりやため池のかいぼり、藻場の造成、海底耕うんなどを進めていく。今回、最終補正予算で漁協の協力の元に海底耕うんを行う事業を拡充することにしている。海域のモニタリングや栄養塩循環メカニズムの研究も行っていく。

    また、豊かな海づくりについての研修会や季節別運転に関する連絡協議会を開催して、季節別運転に関するノウハウの蓄積と情報共有を進めていく。このように、下水道、農林・水産、環境の各部局、市町、農林漁業者等が連携して陸からの栄養塩の供給拡大にも取り組んでいく。

    一方、国では、平成27年の瀬戸内法の改正後、栄養塩管理の明確化、制度化が検討されている。中央環境審議会の答申案では、栄養塩濃度の目標値の設定や季節別運転の推進など、本県の取組と提案が盛り込まれている。今後、法改正や栄養塩管理方策への支援について、瀬戸内海再生議員連盟や瀬戸内海環境保全知事・市長会議と共に国に働きかけていく。

    来年の秋には、全国豊かな海づくり大会が本県の、明石市で開催される。絶好の機会であり、県民一体となって機運を盛り上げていく。

    5 ひょうご住まいの耐震化促進事業について

    (伊藤県議答弁) 1月の各会派政務調査会で住宅耐震化の進ちょく状況を伺ったところ、5年に1回の住宅・土地統計調査の数値しかわからず、最新データは平成30年調査分で、集計中であるが耐震化率90%近くまでに改善しているのではとのことだった。確かに、平成28年度から2期目となる兵庫県耐震改修促進計画により、市町が主体的に実施し補助メニューも市町が行う補助に一本化されたことから、実態が把握しにくい面があるとはいえ、年度ごとの県の助成や件数や新築着工数から進ちょくはある程度把握できるはずである。

    また、当初計画で設定された目標・平成27年耐震化率97%も、第2期計画では10年間先延ばしされ、その計画では平成25年からの12年間で耐震化率を約12%向上させる、つまり1年あたり耐震化進ちょく率は1パーセント程度、戸数は約2万3千戸で目標達成とされている。しかしながら、これらの数字には耐震改修された住宅に加え除却や住替えによる進捗も含まれていることから実際に耐震改修の再演が必要な住宅に目が届きにくい状況である。耐震化率の管理も必要だが、経済的な事情等により建替えや改修ができず耐震性が不足する住宅に住まわれている人の命を守る取組を進めていくべきである。

    また、25年前の被災度合いで耐震化率に地域間のバラツキがある。「大規模地震はどこでも起こりえる」が阪神・淡路大震災の最大の教訓の一つではないか。市町が進める耐震化についても県下一律の支援ではなく、地域に合わせた支援メニューとしたり高齢世帯には耐震性が確保された安全な住宅への住み替えや防災ベッドも積極的に推進するなど、地域や住まわれている人の実態に合わせてきめ細やかな支援を行い、まったく何も対策していない住宅を実質的にゼロにする意気込みで協力に進めることが、阪神・淡路大震災を経験した本県の使命だと考えるが所見を伺う。

    (出野上まちづくり部長答弁) これまで、補助を活用して約5,200戸の住宅で、耐震改修工事等が実施された。また、個別訪問やポスティング等により、年間約3万5千戸の住宅の耐震化を働きかけてきた。

    この結果、平成30年の耐震化率は速報値で89%、目標値97%を達成するための平成30年時点の中間値90%と比べると、1%低いものの率的には概ね計画どおり進ちょくしているものと考えている。しかしながら、アンケート調査によれば、旧耐震住宅に住む人の約半数が耐震診断や改修工事を実施しておらず、その7割は60歳以上であるとの結果もある。実施していない主な理由としては、改修費用が高価なことや分譲マンションにおいては、資産価値低下の懸念から改修に向けての合意形成が困難なことが挙げられており、さらに取組を加速させる必要がある。

    このため、来年度1つには詳細な耐震診断に基づく改修工事費の低減モデルを紹介するパンフレットを作成して、市町の個別相談会等でPRしていく。2つには、旧耐震住宅の多いオールドニュータウン等において、地元の建築士、市町職員と自治会役員が一緒になり、高齢世帯を訪問し経済的負担の少ない対策をアドバイスする取組を実施していく。さらには3つ目として、明舞団地で実施するモデル検討を踏まえ、マンションでのピロティ補強や一室だけの補強等の部分改修工事への支援を検討するなど取組を充実させていく。

    6 県立がんセンターの建替整備計画について

    (伊藤県議答弁) 昨年3月の「県立がんセンターのあり方検討委員会」での現地建替が望ましいとの検討報告に基づき、今年度に基本計画を策定することとし、昨年12月に基本計画案の発表があった。

    新たに整備されるがんセンターは、県内のがん診療におけるリーディングホスピタルにふさわしい最先端のがん医療の提供はもとより、先進的な治験の実施やがんゲノム医療外来でのがん遺伝子パネル検査、AI等を活用した診断レベルの向上など、いわば専門的かつハード面での整備が進むものとも言える。

    一方、近年のがん医療では緩和ケアサポートや治療と仕事の両立相談など、ソフト面での充実も求められている。とりわけ、がん治療を受けるうえでの患者の不安を取り除く相談機能の充実は重要で、特にアピアランス外来相談はハード・ソフト両面で充実されることを期待する。先日、医療美容の資格をもった美容師のお話を伺った。女性のがん患者は、副作用等で外観の変化を期にされ、特に髪の毛が抜けていく精神的ダメージは大きいため、医療用ウイッグの提供について支援を強化し、県独自の助成制度創設や相談対応機能の充実を医療美容師と連携して実現してほしいと訴えられていた。

    また、現地建替なので今まで県立がんセンターとその患者さんとともに歩んできた地元住民や商店からは公共交通アクセス、患者用駐車場の拡充、外来町時間短縮、院内での物品販売や飲食提供と地域商店との共存など多くの声が寄せられており、十分配慮のうえ設計検討されることを期待されていた。

    ところが、当初予算案では基本設計の予算が計上されておらず、合併症患者に対する総合病院等との連携方策を検討するための予算が計上されているだけである。このことについては、非常に残念である。様々な要因が重なって、基本計画の策定が遅れることは仕方ないが、その分、県内のがん診療のリーディングホスピタルにふさわしい病院となるよう、十分検討を深めてほしい。

    一方、がん医療を取り巻く環境は目まぐるしく進展している中で、現在のがんセンターは老朽化や狭隘化により、様々な支障が生じているので早期開院に向けた取組も必要である。そこで、来年度の基本計画策定に向け、合併症患者への対応についてどのように検討していくのか、あわせて新病院の一日も早い開院に向けた取組について所見を伺う。

    (長嶋病院事業管理者答弁) 新たな県立がんセンターの合併症患者への対応については、建替整備基本計画案では糖尿病や循環器疾患などの一定の合併症は院内で対応できる診療体制を構築し、必要に応じて他の医療機関と連携することとしていた。しかし、1月下旬に開催された総合事業等審査会で、速やかな転院等が可能なように近隣の総合病院等との密接な連携方策を十分に検討するよう強い指摘を受けた。

    このため、来年度合併症の重症度合いに応じて適切かつ速やかに対応できるよう検討会を設置し、医師会等の関係者の意見もいただきながら、総合病院等との更なる連携方策の構築を検討していく。

    一方で、現病院は老朽化や狭隘化の進行により、最先端のがん医療の提供に様々な支障が生じていることから、新病院の早期会委員を目指す取り組みも必要となっている。

    そのため、来年度、埋蔵文化財の状況により設計業務の手戻りが生じないよう、試掘調査を先行実施する。また、通常、設計段階で行っている各部門の業務手順の検討や諸室の必要面積の精査などをあらかじめ行うことで、設計期間の短縮に努めるなど、早期開院に向けて取り組んでいく。

公明党・県民会議議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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