議会報告

  • 谷井 いさお
    第354回(令和3年6月)定例県議会 一般質問(谷井いさお議員)


    ≪質問項目≫
    1、行財政構造改革の成果と未来への可能性について
    2、広域行政のあり方について
    (1)新たな感染症に備えた県と保健所設置市との連携について
    (2)地方と国の役割分担のあり方について
    3、ポストコロナにふさわしい兵庫の未来について

    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、行財政構造改革の成果と未来への可能性について

    (谷井県議)私は14年間、県政を共にさせていただき公明党会派としても多くの提言や要望を行ってきた。特に私が執行部として携わった要望では、子ども医療費の助成制度の拡充、幼児教育・保育の無償化、私立高等学校授業料の減免による実質無償化、がん条例制定に伴うアピアランスサポートへの補助制度など、多くの提言・要望を実現してきた。
    個人的にはなんといっても県立尼崎病院と県立塚口病院の統合である。議員になって2年目の2008年に行革が本格的に始まり、その中で尼崎市にある、2つの県立病院を統合再編する案が盛り込まれた。当初は、県立尼崎病院の敷地内に新設病棟を建て、県立塚口病院は廃止する計画もあった。私は何度となく本会議での質問や病院局と交渉をさせていただく中で、私の母校である尼崎市立尼崎産業高校跡地に新病院を建築すべきであると提案させていただいた。
    当時、故・冬柴鐡三衆院議員からアドバイスをいただき、国の地域医療再生基金を活用することにより、県の財政が厳しい中でも、新病院建設は可能ではないか、など財源確保に向けた取り組みも提案した。紆余曲折を経て井戸知事の英断により現在の尼崎総合医療センターが誕生した。当時の県立尼崎病院と県立塚口病院の最大の課題は、三次救急の実現と総合医療の拠点病院にすることであった。それを実現したのが尼崎総合医療センターであった。
    今もなお新型コロナウイルスが猛威を振るっているが、尼崎総合医療センターが阪神間の重傷患者を受けることにより、地域医療を支えている。また、尼崎総合医療センターの統合再編が成功したことにより、県下の県立病院の再編や建て替えがスムーズに進められるようになった。
    井戸知事は、阪神・淡路大震災からの創造的復興のために抱えた1兆3千億円という巨額な県債を返済しながらも県民の安全・安心への投資については計画的に実施するなど、見事な手腕で財政運営をされてきたと高く評価している。
    また、現在のコロナウイルス感染症対策についても堅実にスピード感を持って対応されてきた。井戸知事は今期で勇退されるが、改めて5期20年を振り返り、行財政構造改革の成果をどのように考え、その成果を未来にどう活かしていこうとしているのか、兵庫の未来への可能性について伺う。

    (井戸知事)改革にあたっては、単なる削減ではなく事務事業や投資水準、組織、定員・給与、外郭団体、歳入など全般にわたって改革のメスを入れるとともに、新たな経済雇用対策や地域創生の展開、防災・減災など県民ニーズに対応した必要な事業を積極的に展開してきた。
    改革期間中であったが、県民の命を守る最後の砦である県立病院の建替整備を計画的に進めることにもした。現在、コロナ感染症対策においてご指摘のとおり、尼崎総合医療センターや加古川医療センターをはじめとする県立病院が重要な役割を果たしてくれていると、そのように評価している。
    財政健全化と時代の要請にこたえる施策展開の両立こそが、行財政構造改革の成果であると考えている。こうした改革の基本姿勢は、今後の行財政運営においても基本としていかなくてはならない。行財政の運営に関する条例に基づき今年度行う、行財政運営方針の3年目の見直しにあたっても、各分野の取り組み状況を点検の上、スクラップ・アンドビルドの徹底による事業の選択と集中、行政のデジタル化等を踏まえた業務改革等に取り組み、次代の変化や新たな行政課題に対応していくことが必要である。
    さらに、ポストコロナ時代の新たな兵庫づくりを進めていくためには、行財政構造改革で構築した持続可能な行財政基盤を礎にして、デジタル化の本格的な推進、変化に強い産業構造への転換、地方回帰を促す環境整備など、着実に取り組んでいくことが求められる。そして都市部から多自然地域まで「日本の縮図」と言われる個性豊かな五国のポテンシャルを生かして、ポストコロナを先導する兵庫モデルを築いていかなければならない。そのためにもしっかりとした行財政基盤のうえに、まさに弾力性をもった対応ができる施策の展開ができる。そのような行財政改革、体質をつくりあげいくその最初の見直しが3年目の見直しになる、こう位置付けてしっかりとした見直しが続けられればと願っている。



    2、広域行政のあり方について

    (1)新たな感染症に備えた県と保健所設置市との連携について

    (谷井県議)新型コロナウイルス感染症への対応については、県は対策本部を設置し、知事を対策本部長として各種の対策を講じているが、これらの対応については県民の関心が非常に高く、これほど知事の手腕について県民が関心を持つことは近年なかったのではないか。
    新型コロナウイルス感染症が発生した当初は、陽性者数の把握がすぐにできない状況だったため「感染が疑われる場合、検査が受けられるのか」といった検査体制のあり方について県民の関心が寄せられたと思う。また、医療提供体制についても「感染が判明した場合、すぐに適切な医療がうけられるのか」といった声も寄せられたと思う。
    県は、順次、検査体制や確保病床数などの医療提供体制の拡充を進めることにより、感染拡大を抑制するよう取り組まれてきたと思うが、新型コロナ感染症の感染拡大には波があるため、どうしても患者を受け入れるための病床数が足りず、逼迫した状況も見られた。特に、この4月には、従来の方針を転換して自宅療養を開始せざるを得ないという危機的な状況も生じた。
    このような場面において、県は病床を確保するよう努力を続ける一方で、どのような方を入院させるか、宿泊療養させるか、あるいは自宅療養とするかなどについて、方針を整理しているが、症状がありながら宿泊療養を行う方や、自宅で療養する方にも適切に対応できるよう、宿泊療養施設への医師派遣や家庭訪問等のフォローアップ体制の強化をこれまで以上に取り組む必要がある。
    また、県民の生命や健康を守るためには、このような対応が県内で確実に実施されなければならないが、感染者の調査やフローアップ、入院調整の実務は保健所が主体となっているため、県と保健所を独自に設置する政令市・中核市との間で適切な連携を図る必要がある。
    県と保健所設置市との連携は、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発令されていない、平時には地方分権の観点から、保健所設置市に限らず県民・市民に近い基礎自治体が独自性を持って行政を運営することは大変良いことと考えるが、新型コロナウイルスなどの感染症が広域で発生している、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発令されている状況においては、まさに有事のため県が強い権限を行使し、保健所設置市も含めて、県の直轄のもとで統一的な対策を効果的に実施できるようにすることが望ましいのではないか。
    一方で、緊急事態宣言などが発令されている状況だからこそ県民・市民に近く管内の医療機関とも日頃から関係を築いている保健所設置市が地域の事情も踏まえて対応することが望ましく、県はサポートに徹するべきとの意見もあるかもしれない。
    いずれにせよ、新型コロナウイルス感染症に対する対応策について、今後総括的に検証されることになると思うが、県民の生命や健康を保護するうえで、新型コロナウイルス感染症患者に対応するため、これまでどのように保健所設置市と連携してきたか、今後新たな感染症が発生した場合、保健所設置市との連携体制について、どのような方向性で対応することが望ましいか所見を伺う。

    (藪本健康福祉部長)感染者への対応についてはご案内のとおりだが、まずは各保健所が積極的疫学調査や対処方針に定めた療養基準や宿泊療養施設の受入基準に基づいて、入院調整等を行う。県では、保健所設置市も対象にして新型コロナウイルス入院コーディネートセンターで圏域を越えた入院調整や、また、県が確保している宿泊療養施設で患者の受け入れや適切な療養支援を行ってきた。
    検査体制や療養基準、入院・宿泊の広域間調整ルールなど、新型コロナウイルス感染症への医療提供体制などについて検討していただいている。「兵庫県新型コロナウイルス感染症対策協議会」には、神戸市保健所長、県市町会長・町村会長も委員として参加いただき、市町の意見等も十分反映させている。
    さらに、県及び保健所設置市の保健所長で構成されている兵庫県保健所長会の毎月の連絡会の場も活用させていただき、新型コロナ対策に関する情報提供や方針の説明、意見交換も行い県と保健所設置市、また保健所相互の緊密な連携も図っている。
    保健所設置市は、概ね人口20万人以上の意思と能力のある市が保健サービスを一元的に実施する制度で、保健所運営においては可能な限り、地域の実情を踏まえた独自性が発揮されることが望ましい。しかし、例えば広域で感染症が発生した場合には、保健所設置市だけでは必要な役割に応じた病床の確保など対応が困難な課題が生じることから、知事が新型インフルエンザ等対策特別措置法で規定されている総合調整や指示の権限なども適切に行使し、広域で対策を推進することが必要である。

    (谷井県議(再質問))以前から官庁の調整会議に参加する中で、どうしても市町間でやっていることがばらばらであったり、県がやっていることと違いがあったりということがあり、自宅療養を認めるということもやらざるを得なかったという状況もあったと思っている。
    かたや災害対策基本法などでは、知事の強い権限で災害に向けて対策を行っていくという組み立てになっているが、感染症法というものがあって、どうしても保健所設置市に権限があるということになっている。新型インフルエンザ等対策特別措置法の人流を止めるということについては知事に権限があるが、県民からすると知事がそういうことを一切行っているように映っており、知事の手腕を県民が見ているというふうに思う。
    一点お伺いしたいのは、新型インフルエンザ等対策特別措置法でも知事の権限をさらに強化して、例えば西宮市や尼崎市が自分たちでできないところを他の市から協力に応援してもらうなど、広域行政を協議会だけでやっているということだが、知事がやはり強い権限を持ってやるというように法改正するとか、県内でしっかりとした協力体制のためのルール決めや枠組みをつくることが考えられないのか。所見を伺う。

    (井戸知事)基本的には保健所設置市の自主性を尊重していかなければならないと思っているが、統一的な行動をとっていただかなくてはならないということはきっちりと要請させていただいており、齟齬が生じるような事態にはなっていない。さらに厳しさが増してくるようであれば、新型インフルエンザ等対策特別措置法の権限に基づいて対応をとっていく必要が生じることも考えられるが、一般的には相互にそれぞれの立場を尊重しながら自主性を発揮していく方がスムーズに動けると考えている。



    (2)地方と国の役割分担のあり方について

    (谷井県議)この10年間、関西防災・減災プラン等の策定、東日本大震災でのカウンターパート方式による迅速な被災地支援、ドクターヘリの共同運航、海外事務所の共同利用など、関西全体での統一的な行動を進めるなど着実に成果を挙げてきたことに敬意を表する。しかしながら、肝心な地方分権の推進、特に国の出先機関の丸ごとの移管や「防災庁」の設置などは依然として進んでいない。
    井戸知事は本会議の答弁で「仁坂連合長のもと新型コロナに打ち勝ち、関西の元気回復に向け全力で取り組んでほしい。そして、来年のワールドマスターズゲームズ2021関西や2025大阪・関西万博を契機に、関西の復権を目指し、東京一極集中の是正、首都圏と関西圏が並び立つ国土の双眼構造の構築を実現することをぜひ目指していただきたい」とのエールをおくられたが、創業者とも言うべき井戸知事が勇退した後、関西広域連合の求心力が低下するのではないかと大変危惧している。
    そこで、長年関西広域連合長を務められた井戸知事として、地方と国の役割分担における広域連合の果たすべき役割について所見を伺う。

    (井戸知事)広域連合をつくり上げることで地方分権への地方側からの具体的な行動を示したといえると思うが、残念なことに政府機関の地方移転を全国で唯一、文化庁、消費者庁、統計局いずれも関西広域連合の区域内に移管したものの、出先機関の移管をはじめ具体の国の事務・権限の移譲については大きな成果は上がっていない。国の役割は外交や防衛等に限定して、それ以外は地方に幅広く委ねるべきものだと考えられるし、そのような意味からすると府県域を超えた行政課題は広域連合がその役割を担うべきであると考えている。
    32次の地方制度調査会の答申でも、関西広域連合の取り組みの深化への期待が述べられている。さらに成果を積み重ねていく一つの方策として、国出先機関等の移管が直ちに難しいなら広域連合と協働事業を行うことにより、国の事務権限の受け皿たる能力を広域連合が示す。これもひとつの方式であるし、また、広域連合の国に対する要請権の行使も視野に、国の事務・権限の移譲の具体化、特に地方分権特区制度を提案しているが、それも必要な事柄ではないかと思っている。また、防災庁の創設にも粘り強く取り組んでいくべきである。
    コロナ対応で、構成府県市にはこれまでになく頻繁に会合を開くだけではなく、結束を強めていく。そのような意味で私は7月末で退任しますが仁坂連合長のリーダーシップの下に、広域連合が分権の先頭に立って国家構造の転換をリードしていく存在で是非あってほしい。



    3、ポストコロナにふさわしい兵庫の未来について

    (谷井県議)井戸知事の県政の基本姿勢は参画と協働の推進であった。原点は県民主導、地域主導で県民の夢や希望を取りまとめるため、長期ビジョンを策定した。この長期ビジョンは従来の行政主導の計画ではなく、県民の夢や希望を実現するためのものであるからこそ、県民自らがその実現に参加し、協働することを基本としたものである。
    井戸知事の著作の「新々一歩いっぽ」(9)の中で、ポストコロナにふさわしい兵庫の未来について、6点のポイントを紹介している。第一に、情報基盤の整備。兵庫情報ハイウェイをはじめ、情報ネットワークの整備と活用、そして本庁におけるデジタル・トランス・フォーメーションの推進。第二に、コロナ後の働き方改革。在宅勤務やテレビ会議等活用により、生産性の向上を図る。第三に、地域創生のさらなる推進。特に、東京など大都市からの移住環境を整備しつつ、地域の自立をめざした活動の展開を図る。
    第四に、巨大化する自然災害対策。南海トラフ地震への対策をはじめ、安全・安心の基盤づくり。第五に、人生100年時代にふさわしい、子どもから高齢者までが安心して暮らせる地域の確立。第六に、未来を拓く人づくり。特に世界と地域の両方で活躍する人材の育成を挙げている。
    そこで改めて、ポストコロナにふさわしい兵庫の未来、将来像をどのように考え、次のリーダーに託そうとしているのか伺う。井戸知事から県民への任期最後のメッセージを。

    (井戸知事)すでにポストコロナ時代の胎動は、大きなものになりつつある。日々の営みの中に急速に浸透したデジタル技術や情報インフラの活用が、まずあげられる。時間や場所の制約からも解放されることで、都市の稠密への懸念から高まってきた地方回帰への動きを後押しすることに繋がる。
    このため、生活の必需品やサプライチェーンの国外依存の大きさにきづかされた。このための国内回帰の動きが生じている。人や企業の流れを兵庫へ呼び込む取り組みが必要である。加えて、コロナ禍で再認識したのは安全安心の大切さである。コロナ対策はもとより、自然災害への備え、高齢化社会に対応する医療・介護体制の充実、子どもを産み育てる環境整備を進めていくことが必要である。起業・創業の活性化や農林水産業の基幹産業化、次代の変化に対応できる人づくりも欠かせない。
    あわせて、2050年カーボンニュートラルの実現をめざした対策など、地球温暖化対策も兵庫独自モデルを提案していく必要がある。県はもともと日本の縮図といわれる五国の多様性やそのポテンシャルを生かすことが不可欠である。そして、人、くらし、産業、地域が個性をいかしながら、バランスを保ち各地域が相互にネットワークを持って結びつき発展していく。このような施策の実現を通じて、ポストコロナ時代の新たな兵庫づくりが着実に進められるよう期待している。
    これまで、進取の気性に富む兵庫の人々が活躍し、困難を乗り越え150年あまり、兵庫の歴史を築き上げてきた。兵庫の人々の英知と力を結集すれば必ずポストコロナ新時代にふさわしい兵庫が作り上げられることを期待するだけでなく、確信している。そのような意味で県民の皆さんと一緒に次なるリーダーがリードされることを期待している。

公明党・県民会議議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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