議会報告

  • 竹尾 ともえ
    第359回(令和4年9月)定例県議会 代表質問(竹尾ともえ議員)

    ≪質問項目≫
    1、斎藤県政1年目を踏まえた地域創生戦略の見直しについて
    2、女性の活躍に向けた取組について
    3、原油や原材料価格の高騰、円安の影響を踏まえた中小企業等への支援について
    4、新型コロナ感染症拡大期に備えた新たな対策について
    5、帯状疱疹ワクチン接種補助について
    6、脱炭素社会の実現に向けた地域循環共生圏の創出について
    7、不登校特例校の設置の検討に向けた児童生徒への支援について
    8、特殊詐欺対策の強化について
    9、兵庫県域の大阪湾ベイエリアの活性化について



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、斎藤県政1年目を踏まえた地域創生戦略の見直しについて

    (竹尾県議)先日の「知事就任1年記者会見」では、この4年間で最も成し遂げたいと思っている施策は、との質問に、知事は「2025年万博に向けた兵庫県全体を活性化していく仕組みづくりに取り組んでいきたい」また、「県が行う業務は広域的で中長期的にいろいろな取り組みをやっていきたい。成果をどのように示していけるかも大事なテーマ」と言われた。
    令和4年度第1回県地域創生戦略会議で「ポストコロナを見据えた県政として『包括』と『挑戦』を一つの方向性として進める」と述べられているが、漠然としているように感じる。また「中長期的な取り組み」についても、なにを県の課題として意識し、なにを優先して取り組もうとしているのか分かりにくい。
    コロナ禍を機に地方自治体及び首長の存在感は増している。財政面等もあるが、難局をチャンスととらえてどのように課題に取り組んでいけるのか、就任1年のご自身の評価も踏まえ、中間年度を迎える地域創生戦略をどのように見直そうとしているのか。

    (斎藤知事)今後、中長期的な視点で変化する社会情勢や課題に対応しながら、重点を置く取組を見定めていくことが大切である。今回の地域創生戦略の中間見直しもそうした点に意を用いたい。例えば取組の1つは、コロナ禍で生まれた地方回帰の流れをしっかりとらえて広げていくことだ。先日訪れた丹波地域では移住してきた多くの方々から、新しい働き方、暮らし方が兵庫に大きく広がりつつあることを肌で感じた。テレワークやマルチワークなどの新たな動きを活かして若者、ファミリー層の県内移住、企業の移転などを県全体に拡げていきたい。
    また、若い方への応援に力を入れていきたい。結婚や妊娠、出産を望む方々の支援の充実、高等教育の特色化など夢や希望を抱ける兵庫を実現していく。さらに2025年大阪・関西万博、神戸空港国際化なども踏まえつつ、ポストコロナの新たな成長エンジンを創ることも重要である。

    (竹尾県議(再質問))本県でも出生数の減少、若者の県外への転出超過により人口減少が進行している。若者の結婚数や出生数についても減ってきており、コロナも軸にした課題についてどのように考えているのか。第1回目の地方創生戦略会議での意見として少子化対策にどのくらいお金をかけたのか不明瞭。社会増対策は人の奪い合いであるが人口は減っている。人に対する予算の使い方をオープンにして、県民に分かりやすく伝えるべきではないか。課題について何を優先していくべきと考えているのか。

    (斎藤知事)市町とも連携しながら、結婚、出産、子育てを支援していく。さらに高校以上そして大学については県が魅力ある高等教育を作っていくいくことが大事である。その上で、社会増減については転出増の課題がある一方で丹波地域も含めて30・40代の転入者が増えており、住みたい家が見つからないというニーズなどをうまくとらえていくことが大切である。

    (竹尾県議コメント)結婚、妊娠、出産、子育てという一連のことに、県として、どう魅力を作っていくのかということが大変重要だ。人口減少問題を根底に捉えながら、施策の優先度を決めていただくのが良いと思う。



    2、女性の活躍に向けた取組について

    (竹尾県議)公明党は長年にわたり「女性が活躍する社会の構築」に力を入れており、近年では令和元年の「女性活躍推進法」の改正に際し、一般事業主行動計画の策定義務の対象が常用労働者301人以上から101人以上の事業主へと拡大されたほか、情報公表や特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設などにも取り組んできた。 県では男女共同参画センターで女性就業支援として、女性デジタル人材育成にも取り組まれているが、豊岡市ではIT企業と連携してインターネットを活用した宣伝によってビジネスチャンスを広げる手法「デジタルマーケティングセミナー」を開催するなど、官民連携した先進事例が増えてきている。
    女性の活躍を推進する企業を認定する制度は、知名度不足や採用難に苦しむ中小企業にとって、人材を確保するための強力なアピールとなる。また、女性が働きやすい職場は、優秀な人材が集まるだけではなく、離職率も低下させ、企業経営にもプラスとなる。さらに中小企業の経営者に女性が働きやすい職場環境改善の重要性に気づき、理解いただくことが大切である。そこで、女性の活躍に向けた県の取り組みの状況を伺う。

    (齋藤知事)セミナーの開催、個別相談、ハローワークによる職業紹介などの就労支援を行っている。デジタル人材の育成としては、基礎的なパソコン講座のほか、職業訓練校で高度なスキルを獲得できる多様なコースを設け就職を図っている。
    企業向けの取組としては、女性社員同士のネットワークづくりも含め、体系的な研修の実施を望む企業の声を受け、今年度からは経済団体と連携し、階層別研修を開始した。また、トップ向けの意識改革セミナーの実施も10月に予定している。特に中小企業では、計画を立ててもその推進に悩む企業が多いとされている。そこで、今年度から新たな認定制度を10月を目途に設ける。これは企業が自社の取り組み状況を数値化し、客観的に課題を認識、そして社内共有することで取組の推進につなげるもので、一定の基準に達した企業は県のHP等でも積極的に広報していく。

    (竹尾県議(再質問))コロナの影響なども踏まえた地域創生戦略の中間見直しであると思うが、コロナ対策もしっかりと軸に入れた課題について、どのように考えているのか。対策会議の中でも、意見が出ていたが、少子化対策にどれぐらいお金をかけたのか不透明で、不明瞭だ。社会増対策は人口の奪い合い、人口は現実的に減っている、人に対する予算の使い方をオープンにして県民にわかりやすく伝えるべきではないか、男女の出会いの支援にもっとお金をかけるよう努力してほしい。平成30年から言っているが変わっていない。議論がずっと続いている、子育てについてもめりはりをつけて立案してほしい、といった意見があったと思う。そういった人口減少に対しての県の課題について、何を優先していくのかについて再質問する。

    (斎藤知事)人口の自然増減については、コロナ禍で結婚、出産される方が減っているというデータが出て来ているので、市町とも連携しながら、結婚、出産、子育てを促進していく。さらに教育の問題も大事だと思っているので、高校、大学において、県がいかに魅力ある高等教育を創っていくかが大事である。
    社会増減について、転出が超過している地域がある一方、丹波地域など転入が30~40代の方もかなり増えてきており、住みたい家がなかなかみつからないといったニーズも出て来ているので、そこを上手く捉えていくことが必要である。
    コロナでいろいろなライフスタイルが変わってきているので、女性デジタル人材の育成に取り組んでいくことで、地域に住みながら、例えば東京や大阪ともリモートでの仕事ができる。そうすると所得もある程度高い仕事を確保できる、そういった面もあるので、人材の育成とUターンの促進というのはセットであると考えている。

    (竹尾県議(コメント))丹波市も官民連携をしている。そういったことが女性デジタル化を進める大きな力となるので、デジタル人材の育成にさらに力を入れていただくよう、よろしくお願いいたします。
    認定制度についても、もう少し詳しく計画等を聞きたかったのだが、企業側がしっかりと女性が活躍する場をつくっていけるよう、女性がいきいき働くまちとなるよう、しっかりと進めていただきたい。



    3、原油や原材料価格の高騰、円安の影響を踏まえた中小企業への支援について

    (竹尾県議)本定例会に提案されている補正予算案の経済対策事業では、「円安・原油価格高騰等の影響を踏まえた事業者の経済活動支援」として72億円が計上されているが、その内訳は6月の補正予算事業である「原油価格・物価高騰対策一時支援金」事業(6月補正予算96億円)が想定以上の申請だったことにより、その不足分を補うための予算55億円が大半を占めている。この一時支援金は事業復活支援金の受給者や経営円滑化貸付の利用者で売上高の減少率に応じて10万~30万円の一時支援金を支給するということで、幅広い個人事業主や中小法人への支援にはなったとは思うが、その具体的な効果は広く薄い支援策ということで分かりにくいものになっている。
    一方で、6月補正予算では、「生活衛生事業者に対する支援(1.1億円)」として燃油高騰の影響が大きいクリーニング店や一般公衆浴場事業者に対する支援があったが、今回は追加計上されない。燃油や原材料高騰、円安の暴風雨にさらされて全く利益が出なくなっている状態の業種や企業が存在することに対して、きめ細やかに状況把握をして支援する必要がある。
    本定例会に提出されている補正予算案の経済対策のうち、中小企業等への支援について、限られた国からの地方創生臨時交付金の財源を県としてどのような現状認識、課題認識のもとで本予算案の経済対策事業案を策定したのか。また、今後の県内経済情勢の見通しについてどのように考え、年内の追加補正や来年度予算編成において、効果的な経済対策について具体的な対策の手をどう打っていこうとするのかについて伺う。

    (齋藤知事)具体には、第7波の影響や原材料調達コストの上昇の価格転嫁が厳しい飲食店に対し、プレミアム付き食事券を発行し需要を喚起するとともに、生産資材等の価格転嫁が厳しい県産農産物の生産者を支援するため、県内直売所での購入キャンペーン等を実施する。また、燃油価格高騰の影響を受ける公共交通等の事業者の省エネ化を支援する。



    4、新型コロナ感染症拡大期に備えた新たな対策について

    (竹尾県議)国ではすべての感染者数を把握する全数把握を見直し、都道府県から厚生労働大臣に届出があった場合には、感染者数の総数と年代別の総数を毎日公表することを前提に、当該都道府県の新型コロナウイルス感染症の届出対象を限定することができることとした。医療機関や保健所など現場からは、負担が軽減されると歓迎する声があがる一方で、軽症患者が急に重症化するケースもあり、医師が診断した患者であることことを確認する必要があるなど課題もあることから全数把握見直し事態に慎重な意見も少なくない。
    県では、これら見直しに先駆けて8月5日から県民に必要な医療を確保することを目指し、自分自身で検査キットを使用した検査によって要請が判明した場合、県が設置した「自主療養登録センター」へ自身でWeb登録することによって自主療養できる制度をスタートさせた。この制度は、医師の診断を経ないため、医療機関の負担軽減には一定の効果があった。
    また、発生届対象外となる患者に対するフォローアップ体制を構築するため、既存の自宅療養者等相談支援センターに加え「陽性者登録支援センター」を設置するとしているが、どのようなフォローアップをするのか、県民に分かりやすく伝える必要がある。
    重症化リスクの高い患者への確実な医療提供確保とし医療機関や保健所の負担軽減の両立を図れるよう、全国一律に本日から見直しされる感染者の全数把握を受け構築される、届出対象外者への支援体制でのフォローアップをうまく機能させることが急務である。例年感染拡大傾向にあるこの秋、冬に向けていかに備えていくのか所見を伺う。

    (齋藤知事)県は、低リスク、軽症者である届出対象外の方に対しては「陽性者登録支援センター」を新たに設置し、健康観察等を行うとともに、症状が悪化した際には、必要に応じて医療機関への受入調整など必要な医療へつなぐ体制を整備している。国では新型コロナ、インフルエンザの同時流行の懸念も指摘されているので、十分に確保されたオミクロン株対応ワクチンと同時接種可能なインフルエンザのワクチンの接種をいずれも推進していきたい。
    次なる感染拡大期においても、これらの取組を推進することで医療機関等の負担を軽減し、重症化リスクの高い方が必要な医療を受けられる体制を強化する。



    9、兵庫県域の大阪湾ベイエリアの活性化について

    (竹尾県議)本年2月議会議案提案説明では知事から、万博開催を契機に県内の関係市町や観光事業者、学識者の参画を得て、兵庫県域の活性化基本方針を取りまとめると共に、新たなグランドデザインの策定をめざす。また、海上交通の充実では「非日常が味わえるようなブランド化」の必要性、将来的な民間商用運航も見据えながら、新たに関空や天保山等を発着する航路において、船上での会議スタイル「クルージングMICE」の実証実験を行うとの趣旨説明があった。
    海上交通の充実に加え、私の地元西宮浜では大きな消費効果が見込まれる「スーパーヨット」の誘致が進められていると聞いている。尼崎・西宮・芦屋・神戸・淡路島のエリアの海を優雅に散歩する気分にさせる、大変夢のある構想である。
    西宮浜が阪神地域の市町の観光経路の拠点となるよう、宿泊・飲食・お土産・観光等の情報提供を行う観光案内書を設置するなど、阪神地域全体の活性化について、どのような利活用を描いているのか、公民連携して考えていく必要がある。また、各自治体が抱えている人流及び物流の諸課題についても整理し、解決策についても検討する必要がある。
    一番大切なことは、このプロジェクトを大阪・関西万博だけで終わらせるのではなく、万博後も地域や市町に元気や活気、消費喚起、経済効果をもたらし続ける計画とすることである。そこで、今年度中に策定しようとしている兵庫県域の大阪湾ベイエリア活性化基本方針について、どのように進めようとしているのか現状と今後の取組について伺う。

    (齋藤知事)本年5月に推進協議会を立ち上げて、そこで各市の現状、課題を共有した上で、学識者や民間企業からなる企画委員会で、ベイエリアの活性化のコンセプトを検討している。これを踏まえて、それぞれの「土地の利活用」、「誘客・物流」をどのように活性化していくのか、必要な「規制緩和」は何かということなどをテーマに、県や市の職員、民間企業らによるワーキングを設けて、多様な視点を活かした議論を進めている。
    今後、ベイエリアの活性化を牽引していくようなシンボル的なプロジェクト群と、それを包含する将来ビジョンとして基本方針を取りまとめていく。
    中長期的には、エリア全体の訴求力を高め、持続的に人・モノ・投資を呼び込むことが重要になる。神戸空港の国際化、整備が進んでいる高規格道路、港湾インフラ等も見据えて、ご指摘のスーパーヨットの誘致、さらには先日も尼崎の21世紀の森等に行ったが、臨海部のポテンシャルは高いと考えているので、賑わいを創出するような土地の利用であったり、規制緩和を進めるなど、民間のチャレンジを引き出してそこに集って頂けるような取組をしていく。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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