議会報告

  • あしだ 賀津美
    第352回(令和2年12月)定例県議会 代表質問(芦田賀津美議員)


    ≪質問項目≫
    1、令和3年度当初予算編成について 2、ポストコロナ時代の自律分散型社会を目指す地域創生戦略の見直しについて
    3、コロナ禍における芸術文化への継続的な支援について
    4、認知症対策の大幅な強化について
    5、不妊・不育に悩む夫婦の健やかな妊娠出産のための支援について
    6、国の「GоTоトラベルキャンペーン」の本県経済への波及効果と本県の「Welcome tо Hyоgоキャンペーン」の取組について
    7、新規就農を促進する新たな施策展開について
    8、SDGsを基軸に据えた環境施策の今後の取組について
    9、頻発・激甚化する豪雨に対する洪水・土砂災害対策について

    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、令和3年度当初予算編成について

    (芦田県議)県では必要な財源を確保したうえで、ポストコロナ社会を見据え、県地域創生戦略の地域プロジェクトや兵庫2030年の展望の具体化に向けたリーディングプロジェクトなど、すこやか兵庫の実現に向けた取組を進めるとしており、特に情報化・デジタル化を支える情報基盤の整備・強化、分散型社会の要請や地方回帰の機運を捉えた地域創生の加速化、起業・創業の活性化による本県産業の新たな強みの創造に重点をおいて新規施策を検討するとされている。
    気になるのはシーリングの強化や経費削減の具体的な実現方法だ。予算要求基準を見ると、多くの既存事業が含まれる一般事業枠では80~95%の範囲内というシーリング枠が設定されている。県財政当局としては、各部局に対して事業の内容を精査してスクラップ・アンド・ビルドを徹底することを求めていると思うが、行財政改革下の過去の事例を見ると補助金等が機械的にカットされたといったケースが散見されていたように思う。生活困窮者、高齢者、児童、心身障がい者等に対して行っている様々な支援に要する福祉的経費はもちろんだが、シーリング対象となっている、一般事業枠においても医療、福祉、土木、教育、子育て、雇用等の県民生活に直結する事業については、安易に削減することなく、必要な額を確保する必要がある。
    コロナ化では、本県経済の厳しい状況が続いており、弱者へのしわ寄せが大きく、そういった人たちを支援する県の役割は一層重要になっている。そこで、令和3年度当初予算編成にあたっては、SDGs「持続可能な開発目標」の誰ひとり取り残さないとの理念に基づき、大幅な税収減の下でも県民生活に直結する事業について水準を低下させることなく、選択と集中によって事業の再構築に取り組んでほしい。どのように編成していくのか。

    (井戸知事)基本方針では行財政運営方針に基づく選択と集中に取り組んでいくことはもとより、緊急、臨時的な対応としてシーリングの強化や事業の抜本的な見直しを行い、スクラップ・アンド・ビルドを徹底することにしている。
    「シーリング」は、施設維持費や政策的経費など一般事業枠に属する経費に対して、一定の削減と事業のスクラップ・アンド・ビルドを促すことを目的としている。ただ、削減額の2分の1相当については新規事業の財源に活用することにした。
    事業の見直しにあたっては、一律・機械的な削減とならないよう、事業目標の達成状況や費用
    対効果の点検・評価はもとより、社会情勢や県民ニーズの変化、国・市町・民間との役割分担なども個別に精査、吟味し県民生活への影響についても見極めていく。
    これから予算編成作業が本格化していくが、スクラップ・アンド・ビルドにより生み出された財源をポストコロナ社会を見据えた先駆的・先進的な施策や県民生活が直面する喫緊の課題に対応する施策に振り向けるなど、すこやか兵庫の実現に向け、県民が将来への希望を持てる社会の創造に挑戦することが出来る予算の編成をしていく。



    3、コロナ禍における芸術文化への継続的な支援について

    (芦田県議)県では、令和2年度6月補正予算で芸術文化公演の再開に向けた緊急支援として「地方創生臨時交付金」から2億円が充てられた。これは収容人数100人規模以上で、感染拡大予防を遵守して芸術文化公演等を実施する場合の施設使用料2分の1相当額を支援し、芸術文化活動の再開を推進するものだ。
    それ以外にも、芸術文化活動の経歴を有する個人・団体を対象とした「芸術文化活動機会促進動画配信事業」、個人・団体で概ね50歳未満で県域文化団体等からの推薦を受けたものを対象とした「ひょうごアーティスト動画配信事業」、県民芸術劇場登録団体の優れた舞台芸術を在宅で鑑賞してもらえるよう無料動画を掲載・発信し、舞台芸術鑑賞のPR映像の機会を提供する「県民芸術劇場動画配信事業」といった事業を実施していただいた。
    県は芸術文化に強い関心を持ち、スマートで面白い人材の育成や振興を行い、コロナ禍でも国の交付金を活用しながら支援がなされてきたところだが、まだ終息の兆しが見えない中で、引き続き、発表の場の確保、県内各地でのリサイタルやロビーコンサートへの出演、さらには動画の配信など幅広い活動への支援の継続が求められる。
    財政環境が厳しい中では、ふるさと納税により財源を確保し、基金の創設による支援も考えられる。コロナ禍で芸術文化の重要性が改めて認識されていることを考えれば、県民の多くの理解が得られるのではないか。埼玉県芸術文化振興財団事業本部長を務められ、現在公益財団法人東松山文化まちづくり公社理事長の石田義明さんの「文化芸術の力で危機を乗り越える」という文章の中に、次のような一説を見つけた。
    「新型コロナの感染拡大によって、日本各地で他人への思いやりのなさに起因する事象や信じられない誹謗中傷が起きた。いろいろな立場の誰かを想像する気持ちがなくなった。それを子どもの時から心と身体にしみこませることが出来るのは芸術である」。私もそう思います。佐渡裕さんは「音楽は心のビタミン」とおっしゃっている。ビタミンがなくては健康な体は維持できない。芸術文化の灯を消してはならない。
    そこで、現在行われている芸術文化への様々な支援について事業の延長も含め、引き続き支援にどのように取り組むのか。所見を伺う。

    (井戸知事)第1に活動の継続支援のため「ひょうごアーティスト動画配信事業」などご指摘の3事業により、102団体、88個人に対し無観客で行う公演や展示等支援し、「がんばろうひょうご!つながろうアート」として広く動画配信を行っている。芸術文化協会のホームページで配信している。
    第2に、活動の再開を支援するため、劇場等の施設使用料2分の1を助成する「再開緊急支援事業」では、約1,300件の公演等を支援するとともに、市町や団体の要望等も踏まえ、12月末までの対象期限を2月末まで延長する。さらにロビーコンサートやリサイタルの開催など新進・若手アーティストの公演等も幅広く支援している。
    一方、ポストコロナ社会に向けた課題も見えてきた。デジタル革新の加速と本物の価値に対する欲求への対応である。
    このため、まずICT(情報通信技術)を活用し、リモートによる芸術文化の担い手の育成や芸術文化活動動画配信の充実などに取り組んでいく。これらは地域偏在の是正にもつながる。
    2つに、本物の芸術文化にふれ感動する機会を提供するため、県内各地でのアウトリーチ活動やリサイタル等の芸術文化活動を展開する。加えて、広く芸術家の個人や団体が芸術文化活動を行う場合の会場の確保等への支援も積極的に行う。厳しい財政環境も踏まえ、ご指摘のふるさと納税の活用に向け、ひょうごの芸術文化を応援してもらえる事業としての検討も行っていく。



    5、不妊・不育に悩む夫婦の健やかな妊娠出産のための支援について

    (芦田県議)県ではすでに高額な不妊治療の経済的な負担軽減を図るため独自の制度を創設しているほか、不育症治療支援についても市町とともに共同支援事業を推進するなど地道な取組を推進してきた。薮本健康福祉部長からは、特定不妊治療による分娩率は約25%、不育症妊娠成功率は80%であり、健やかな妊娠出産のみならず、少子化対策にも大きな意義があるとされ、事業開始から16年間における不妊治療の対象者は、延べ81,630組で2万人の出生に繋がった。また、不育症治療支援については、延べ138人に助成し100人を超える出生があったことが紹介され、県の支援に効果があったことを確認できた。
    国では菅新政権が発足し、我々公明党が長年にわたり要望してきた特定不妊治療についての保険適用について言及いただき、その実現に向けた取組を加速化する動きが始まったことは、支援の対象となる夫婦家族にとっても朗報で、SDGsの精神にも重なる重要な取組であり高く評価する。
    決算特別委員会では、国の動向を注視しつつ、本県単独制度の今後のあり方についての見解とあわせて、不妊治療の検査について夫の検査を促進する意味からもインセンティブを考慮した検査費用を助成する新たな支援の仕組みについて検討するとの答弁があった。部長からの前向きな答弁に感謝申し上げるが、晩婚化の傾向が続いている中にあって、夫婦全体の5.5組に1組が不妊の検査や治療を経験し、いまや生まれてくる赤ちゃんの16人に1人が体外受精や顕微鏡受精による出生となっており現実を踏まえ、より踏み込んだ不妊治療、不育症への支援が必要と考える。
    少子化対策は、本県にとっても地域創生の観点からも重要課題であり、何よりも不妊、不育で悩んでいる夫婦が健やかな妊娠出産を迎えることが出来るよう支援を拡充していただきたいと思うが、所見を。

    (金澤副知事)特定不妊治療については、これまでから所得制限を撤廃すること、あるいは保険適用について国へ要望を行ってきた。このたび、国では令和3年度の保険適用を目指して、当面の対応として、まず所得制限を撤廃する、そして1回あたりの助成額を30万円に増額する、さらに助成回数制限を現在は通算6回だが、これを子ども一人につき最大6回に、今年度中に拡充する方向で検討されている。また不育症についても、検査費用の助成など新たな支援制度の創設が検討されていると聞いている。
    不妊は男性・女性いずれも原因である可能性があるといわれている。男女と早期の治療開始が妊娠率の向上につながるが、夫の理解不足や晩婚化などによって治療開始が遅れることが、経済的負担とあわせて大きな課題となっている。こうした問題意識から県の方では、夫婦そろって受診し、検査を受けた場合になんらかの支援の仕組みも検討している。
    これらの仕組みを含めて、不妊治療の県単独事業のあり方については、国の支援制度の拡充に向けた動向を注視して、これに対応する形で適切に対応していく。

    (芦田県議(再質問))今後、不妊治療の保険適用も視野に入れ、県では不妊治療の指定医療機関が30医療機関存在していることは承知しているが丹波、但馬地域、淡路など地域偏在が生じているのではないかと懸念しているが見解を伺う。

    (井戸知事)まず、医療機関の偏在の問題だが、これはもともと医療機関自身が偏在しているところなので、その条件を前提にしながらできるだけ医療機会の均等を目指してどんなことができるかさらに検討させていただければと思っている。



    8、SDGsを基軸に据えた環境施策の今後の取組について

    (芦田県議)第5次兵庫県環境基本計画では、大きな5つの柱として、低炭素、自然共生、資源循環、安全・快適、地域力と分類して取組を行っているが、中でもカーボンニュートラルの達成に向けては「地域力」を発揮すること、すなわち県民、地域団体、事業者等の地域のあらゆる主体が、よりよい環境づくりに向けて協働することが必要であり、県民一人ひとりの意識向上が重要だ。
    県民に地球温暖化防止、カーボンニュートラルに真剣に取り組んでもらうためには、地球温暖化の施行に伴って異常気象のリスクがさらに高まると県民に気づいてもらうことが必要であり、環境問題への関心を高め「我々一人ひとりの行動が地球環境を変えていくのだ」との地球市民への意識改革のための取組が必要不可欠になる。
    そのために全世界で展開され、日本でも認知率が上昇しているSDGsを活用すべきである。まず、県民に対して県が環境分野における各施策においてSDGsに取り組むと宣言し、ホームページ等でPRする必要がある。そして、SDGsには17の目標があるが、その目標の下にはたとえば「12 つくる責任 つかう責任」には「生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」、「14 海の豊かさを守ろう」には「あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」といった環境関連の様々なターゲットが設けられている。それらの目標やターゲットを教育や施策に取り入れることによって、県民一人ひとりが取り組もうとしている環境の取組がSDGsに関係していると改めて認識することができ、より一層その取組を進めようと思うのではないか。
    株式会社電通マクロミルインサイトの2020年「SDGsに関する生活者調査」によると生活者のSDGs認知率は29.1%と2019年より13.1ポイント上昇し大きく増加している。また、学生などの若い世代の認知率が45.1%と高い認知率になっており、SDGsへの関心が高まっている。県民の意識改革のためには、関心が高まっているSDGsを基軸に据えた環境施策が有効である。
    そこで県が環境分野でSDGsに取り組むことを宣言するとともにホームページ等でPRした上で、SDGsを基軸に据えた環境施策をどのように行っていくのか。

    (井戸知事)環境の取組は持続可能な社会の実現を目指すものであり、SDGsと理念を共有しながら、経済・社会の諸課題の解決につなげていかねばならない。
    本県の環境の保全と創造に関する取り組みの指針である「第5次兵庫県環境基本計画」でも、SDGsの「達成に向けて積極的に取り組む」ことをうたっている。環境の5つの柱や個々の施策についてもSDGsの17目標との関連性を明示しており、その推進を通じて理念を具体化していくことにしている。
    たとえば、再生可能エネルギーの導入拡大やCO2排出の少ないライフスタイルへの転換などの取組を通じてSDGsの目標13「気候変動への対処」はもちろんだが、目標7「持続可能なエネルギー」や目標11「持続可能な都市」の実現に資している。レジ袋の削減をはじめとする3Rの取組や「クリーンアップひょうごキャンペーン」などを通じて、目標12「持続可能な消費と生産」の実現などにつないでいる。 さらに、個々の取組段階でも県民・団体・事業者など関係するステークホルダーへわかりやすく普及啓発を行っていくことが大切だと考えている。
    そのために、たとえば今年度中から展開しているフードドライブ運動では、スーパー各社に対して、SDGsに貢献することを共有して取組を促している。たとえば、目標12「持続可能な消費と生産」、目標3「健康的な生活・福祉」、目標1「貧困の撲滅」等の達成に貢献するということにつながる。県民に対しても運動に参加する意義としてアピールしていく。
    SDGsへの積極的な姿勢は基本計画でも明らかにしているが、より明確になるよう、ホームページの活用など分かりやすい発信も強化する。また、SNSや啓発ポスターなども活用して、SDGsとの関係を「見える化」しながら、県民一人ひとりの意識改革を促し「恵み豊かなふるさとひょうご」の確かな姿を発信していきたい。

    9、頻発・激甚化する豪雨に対する洪水・土砂災害対策について

    (芦田県議)各地で多様な災リスクに囲まれる中、県ではいわゆる国土強靭化基本法に基づき、令和2年3月に「兵庫県強靭化計画」を改訂し基本目標として①人命の保護を最大限図ること②県及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること③県民の財産及び公共施設にかかわる被害を最小化すること④迅速に復旧復興することの4つを掲げ、関連施策の推進に努めるとしている。
    そして内容としては「本県の強靭化を損なう原因をあらゆる側面から検討し、長期的な観点から計画的に取り組む」としており「想定される被害や地域の状況に応じて、防災施設の整備等のハード対策と訓練・防災教育等のソフト対策を適切に組み合わせ、効果的に施策を推進する」としている。そのためにはまずは必要なハード対策がどれだけなされているのかということが大前提となる。
    そこで、県では線状降水帯や台風等によって頻発・激甚化する豪雨がもたらす洪水・土砂災害に対して、その被害を最小限に抑えるためにどのようなハード対策が必要だと考えるのか。そして、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」等によってどの程度の整備がすすめられたのか、その進捗状況と今後、どのように財源を確保し、優先順位をつけて整備していこうとしているのか。

    (荒木副知事)県民緑税による災害に強い森づくりを推進。さらに、国の3か年緊急対策を活用して特別の予算措置による短期間での防災事業も集中的に実施している。具体には、武庫川等15河川で河床掘削等を前倒し実施した。また、通常予算では実施できなかった河川の樹木伐採を淡河川等41カ所で実施するなど108カ所で洪水対策を完了させた。
    また、神戸市の鈴蘭台北町等18カ所で砂防堰堤事業の前倒しを着手するなど、94カ所での土砂災害対策をスピードアップしている。
    しかし、近年の頻発・激甚化する豪雨に備えるためには、実施しなければならない事業量は膨大なものがある。このため、今年度「河川対策アクションプログラム」を策定し、河川整備計画に基づく河川改修、既存ダムの有効活用、中上流部の局所的な治水対策、超過洪水に備えた堤防の強化、堆積土砂の撤去等に積極的に取り組むこととしている。特に人口や資産が集中し、氾濫をすると膨大な被害が発生する河川の事前防災対策を重点化していく。具体には、武庫川では河川整備計画の前倒しに加え、千苅ダムの治水活用や堤防強化等を実施していく。今年度、山地防災・土砂災害対策計画を見直し、特に危険度が高く人家の多い箇所、社会福祉施設、緊急輸送道路等がある箇所を優先して整備をしていく。そして早期効果を出していく。

公明党・県民会議議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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