議会報告

  • 里見 孝枝
    第364回(令和5年9月)定例県議会 一般質問(里見孝枝議員)

    ≪質問項目≫
    1、災害ケースマネジメントについて
    2、新卒者の県内企業就職促進対策について
    3、兵庫県公立高等学校入学者選抜における特別措置について
    4、医療的ケア児(者)支援について
    (1)医療的ケア児コーディネーター設置について (2)喀痰吸引等研修(第3号研修)について 5、自殺対策~誰も自殺に追い込まれることのない兵庫を目指して
    6、阪神北準保健医療圏域における地域医療構想等を踏まえた市立伊丹病院の役割について



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、災害ケースマネジメントについて

    (里見県議) 大規模災害の発災後、住宅や生活の再建が進まず「取り残された被災者」の存在が明らかになっており、被災者一人ひとりに寄り添った支援を実施する観点から、行政と災害NPO、弁護士、建築家、介護などの専門家が連携しながら被災者の主体的な自立・生活再建のプロセスを支援する「災害ケースマネジメント」と呼ばれる新たな取り組みを、被災地で実施されてきた。
    政府は今年3月に災害ケースマネジメントの普及に向けた自治体用の手引きを作成し公表した。また公明党は、2018年1月の国会で初めて災害ケースマネジメントについて取り上げられ、全国展開を主張し、自治体向けの事例集や手引きの作成に後押しをしてきた。本年3月の参院予算委員会では、公明党より被災経験の少ない自治体も含め「全国どこでも取り組めるようにするため、地域防災計画に記載するようにしてはどうか」との提案もしており、積極的に推進する中、5月には「災害ケースマネジメント」などの被災者支援の仕組みを整備することなどを盛り込んだ国の防災基本計画の修正案が決定された。今後、災害ケースマネジメントは各自治体での普及が課題となってくる。
    そこで、先進的な取組をしている鳥取県では「鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例」を一部改正し(第4章被災者の支援第25条の2被災者の生活復興支援体制の構築)、災害ケースマネジメントに関する規定を設けるとともに、今年3月には「鳥取県災害マネジメント手引き」が示されている。また全県で災害ケースマネジメントを推進するため、県内の専門士業である、鳥取県弁護士会、特定非営利活動法人日本フェイナンシャル・プランナーズ協会、一般社団人鳥取県建築士会、公益社団法人鳥取県宅地建物取引業協会の4団体と被災者生活復興支援に関する協定を締結している。
    阪神・淡路大震災を経験している兵庫県としての防災減災の強化のため、今後の災害ケースマネジメント普及に対する取り組み方、ひょうご防災減災推進条例の改正、また、全県で災害ケースマネジメントを展開するための関係専門士業との協定締結について、見解を伺う。

    (遠藤防災監) 阪神・淡路大震災や丹波の水害等では、保健師等による 被災者世帯の個別訪問調査や健康相談のほか、利用可能な支援制度を一つにまとめた資料を配布するなど、様々な被災者支援を積み重ねてきた。また、県では、従来から宅地建物取引業協会や栄養士会、行政書士会、司法書士会など専門士業との災害時の協定を順次締結すると共に、3月に公表された国の災害ケースマネジメントの手引きについては、制度の主な実施主体で市町に担当者会議等を通じて周知を図ったところである。
    しかしながら、災害ケースマネジメントの理解はまだ十分とはいえず、市町や福祉関係者等の理解と連携促進のため、内閣府と共同してこの10月に神戸で、研修会を開催する予定だ。現在、弁護士会等の支援関係者に講師を打診しており、これを機に新たな協定締結も含めた関係機関との連携強化について取組を一層進めていく。
    さらには、今年度の国の防災基本計画の修正を踏まえて、まずは県の地域防災計画に災害ケースマネジメントなどの被災者支援に取り組む旨を盛り込む方向で検討している。現在こうした取組がスタートしたところであり、条例化の必要性については、今後の検討課題と考えている。引き続き、市町や関係者と連携して、発災時においては被災者のニーズに合った生活再建支援に取り組むよう努めていく。

    (里見県議コメント) ケースマネジメントにおいて、しっかりと周知を市町に行っていただいているということだった。今後、各県もそのように進めていくと思う。ぜひとも、防災先進県の兵庫として、全国をリードするような、災害マネジメントの早期着手に繋がるように頑張っていただきたい。10月には研修会も行われ、弁護士会等含め、締結も進めていけるよう準備もしているということなので全国に先駆けて頑張っていただきたい。



    3、兵庫県公立高等学校入学者選抜における特別措置について

    (里見県議) 先日、合理的配慮を求めて受験されようとされている中学2年生となる生徒の保護者からご連絡をいただいた。その生徒さんは小学校の低学年の時に発達性協調運動障害と発達性表出性書字障害の診断を受け、その後はiPadを使用して学習されてきた。市内で前例がないため、困難な課題に対して学校、教諭と共に何度も話し合いを重ね、現在は板書の撮影、提出物をデータで提出、定期テストの時間延長、ひらがな回答一部可など、合理的配慮を受けている。障がいがあっても自分なりのやり方で周りの生徒さんと一緒に挑戦し、自分の力を発揮できるよう頑張ってこられた。
    このたび、高校受験に対して中学校に問い合わせたところ「志望校が決まれば校長から志望校の校長に連絡して協議し、配慮の可否・内容については願書を提出したのちに正式な決定になる」「配慮してもらえないこともある」との回答であり、「どんな特別措置を訴えたらいいのか、書字障害に対しての事例を参考にしたい」と確認したが、具体的な事例を聴くことができず、受験に対して不安を感じておられた。
    今年度より、県のホームページには「兵庫県公立高等学校入学者選抜における特別措置について」と「特別措置に関するQ&A」を掲載していただいているが、周知が行き届いておらず、また、ホームページも見つけにくい場所にあるとの声もきかれ、必要な人に必要な情報が届いていないのではないかと感じた。
    そこで、合理的配慮が必要な生徒・保護者が安心して受験に望めるよう、ホームページの掲載について周知を徹底するとともに、必要な情報に簡単にアクセスできるようにしていただきたい。また、中学校入学当初より高校受験に安心して取り組めるよう現場教諭が入学者選抜における特別措置の具体的な事例を把握し、保護者に説明できるようにご指導いただきたいが、当局の所見を。

    (藤原教育長) 高校入試については、入学者選抜要綱に基づき、個々の状況に応じた適切な合理的配慮を行うこととしており、中学校で行われている特別な配慮や支援を踏まえながら、中学校長と高等学校長が十分な協議をしたうえで決定している。配慮の具体例としては、別室受験、検査時間の延長、漢字へのルビ打ちや問題用紙と回答用紙の拡大、タブレットなどでの解答入力等による措置があり、令和5年度入試での措置数は延べ216件となっている。
    これらの具体例や手続きの流れも含めた合理的配慮の提供に向けた学校内の体制の充実について、本年3月末に各市町教育委員会や各学校園に通知するとともに、その後も中学校長や高等学校長に丁寧に説明し、様々な機会を通して保護者等に伝えるよう指導している。
    議員ご指摘のホームページの対応については、リンクの活用によりトップページからアクセスしやすいように変更したところで、今後とも工夫を図っていく。また、各市町や中学校に対しては、ホームページ掲載場所の周知とともに、改めて入学者選抜の合理的配慮措置について、高校受験の前だけでなく中学入学時から、学校全体として生徒、保護者からの相談に適切に対応するよう徹底する。今後とも、生徒一人ひとりの実態を把握し、入試の公平性、公正性を担保しながら、誰もが安心して高校入試を受験できるよう努めていく。

    (里見県議コメント) 特別措置に関して、トップページにアクセスしやすいようにしていただいているとのことでありがとうございました。入学当初からご指導いただけるということも聞き安心している。あらゆる資料が難しい文言であると、障害をもったご家庭では、保護者も障害があるケースもあるので、より簡単で分かりやすい文言も必要かなと思うので、引き続き配慮をお願いしたい。



    4、医療的ケア児(者)支援について

    (1)医療的ケア児コーディネーター設置について

    (里見県議) 近年、周産期医療の発展により、以前は助かることが難しかった新生児も救命されることにより、日常的に医療的なケアを必要とする子どもたち「医療的ケア児」が増加している。個々のケアは同じではなく、動ける医療的ケア児から寝たきりの重症心身障害児までそれぞれである。その子、ご家庭の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題である。
    こうした課題に対応する上で重要な人材が医療的ケア児コーディネーターである。医療的ケア児コーディネーターは、医療的ケア児等の専門的な知識をもとに各地域で生活しやすくするために、本人と家族の双方を見据えた支援内容を考え、支援計画相談や普段の生活における相談のほか、実際のサービス支援計画を作成および指導するなど、大変重要な役割りを担っている。
    しかしながら、医療的ケア児コーディネーターについて、第6期兵庫県障害福祉実施計画では令和5年度に全市町に配置すると目標が明記されているが、現段階では県内41市町のうち、17市町の配置に留まっている。そこで、年度内の全市町の配置が厳しい場合は、来年度も継続して圏域医療的ケア児コーディネーターを配置するべきだと考えるが所見を伺う。

    (生安福祉部長) 県では、医療医的ケア児や家族を全県的に支援するため、昨年6月に医療的ケア児支援センターを立ち上げて、医療的ケア児やその家族・関係機関へのワンストップ窓口としての助言・情報提供、研修及び家族会の開催等を行っている。
    各地域で医療的ケア児が必要な支援を円滑に受けるためには、医療的ケア児やその家族からの相談に応じて、医療機関、福祉事務所、保育所・学校、市町等の関係機関との連絡調整を行う医療的ケア児コーディネーターの役割が重要である。
    特に市町医療的ケア児等コーディネーターについては、市町民からの相談に対応して、医療的ケア児にとって身近な関係機関等との調整を行うとともに、県内全市町への設置が必要である。現在、17市町で設置されており、今年度中に複数市町が設置することを表明されている。
    さらに、県では市町コーディネーター未設置市町に対して、引き続き研修や啓発を積極的に進めるほか、医療的ケア児等コーディネーター養成研修終了者の情報や設置市町の好事例等について、個別に周知を図るなどにより今年度中の全市町設置に向けた取組を推進していく。
    今後は、市町コーディネーターの設置状況を見極めるとともに、未設置市町においては、圏域コーディネーターが市町コーディネーターの役割を補完している点を考慮しつつ、圏域コーディネーターの事業継続が必要かどうかを検討していきたい。



    6、阪神北準保健医療圏域における地域医療構想等をふまえた市立伊丹病院の役割について

    (里見県議) 兵庫県第7次保健医療計画において圏域設定に関する課題を踏まえ、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町で構成される阪神北部は「阪神北準圏域」として制定されている。
    その理由として、阪神北部は入院医療完結率や受療範囲など一定のまとまりのある旧保健医療圏域、阪神北医療圏域であり、医療資源のさらなる地域偏在に対する配慮が必要であることが掲げられている。また、阪神北準圏域における現状と課題をみてみると、県域内完結率が低く、阪神南部のような県立病院や大学病院などの大規模な高度急性期医療を提供する病院がなく、二次救急や急性期医療の提供が行われているにとどまっている。 そのため、隣接する阪神南部や神戸市、大阪府への流出が多い状況にあることが指摘されてきた。さらに、当準圏域には、提供する救急救命センターもなく、高度医療の充実を図ると共に広域での三次医療機能の在り方と阪神南部との連携体制の構築が長年の課題となってきた。
    これらのことを踏まえ、地域医療構想の推進のため、伊丹市では市立伊丹病院と公立学校共済組合近畿中央病院の統合再編にかかる基本方針を策定し、高度医療等の提供可能な基幹病院を設置すること、病床規模600床規模、新たな診療科を検討し、診療体制の充実を図ること、また、立地場所は南海トラフ大震災等、大規模災害時における地理的優位性や救急患者の迅速な搬送の観点を考慮し、現在の敷地内での建て替えを基本方針とする統合新病院の整備に着手している。
    しかしながら、コロナの長期化・ウクライナ危機・急激な円安の進行などの影響等による建築資材費等が高騰したことを受け、入札が3回に及び工事着手が遅れたため、令和7年度中の開催予定がずれ込み、令和8年度内の開院の見込みとなっている。
    一方で圏域内の課題解決のため、統合新病院での救命措置を必要とする重篤な救急患者への対応が常時可能となるよう、三次救急機能を有する「救急センター」の施設基準を満たすよう機能整備を図り、医療スタッフ等の充実や設備の充実、検査体制の充実・強化を目指し準備を進めているところでもある。
    当初の開院時期が予定よりずれ混むことも予想される中、圏域内の様々な課題解決をするために、統合病院として救命救急センターの指定を受け、阪神南部における救命救急センターとの連携体制を構築することは地域医療構想の実現に重要な役割りを持つと考えるが、県として統合新病院をどのように考えているのか見解を伺う。

    (斉藤知事) 阪神地域には、高度な救命措置を行う救命救急センターが、県立尼崎総合医療センター、そして県立西宮病院、兵庫医科大学病院の3病院に設置されており、阪神南地域に主に偏在しているものの、2次医療機関との役割分担によって、適切な医療が提供されている。現在、阪神北準圏域で進められている市立伊丹病院と近畿中央病院との再編統合がある。救命救急センターの整備を目指して国の規定に基づき人員体制、施設や設備にかかる基準を満たせるよう取り組んでいると伺っている。これが実現すれば阪神北準圏域において、高度急性期及び救急医療の機能が大きく充実するものと期待している。
    県としては、国による技術的・財政的支援の対象となる「重点支援区域」の指定をすでに受けたほか、医療介護推進基金により、再編統合等の支援事業を活用した補助金も支給することとしている。

    (里見県議コメント) 知事から、この市立病院が新しく統合することで、救命救急センターができると大きく充実していくのではないかという答弁もあり、本当にこの入札が2回不調となり3回目となったことで、この開院が令和8年8月見込みとなってしまった。
    県からの手厚い医療機関再編統合等支援事業という補助金もいただいており、申請をさせていただいていると聞いている、また国の補助金である病床機能再編事業の支給要件の一つ、これを受けて申請しているが、令和8年3月31日までに統合が完結する、そのような計画であることが要件として示されている。
    しかしながら、この条件からはずれてしまうのではないかという恐れもあるところです。しっかりと伊丹としても早期の開院を目指して尽力していただくことだと思うが、仮にこの支給要件が、令和8年3月31日を超えたとしても、このような物価高の事態によって遅延となり、事業としては、この当該支給金が支給されるように、県としても国に働きかけていただきたい。
    そして、当圏域内における地域医療構想実現に向けて、統合新病院が中核基幹病院となって、医療をしっかりと市民、県民に受けていただける、そんな病院に成長していただきたい。また、この物価高の中でいろいろなところに波及して、大変自体は深刻化している。県としても力強く様々な分野に応援していただきたいと思っている。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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