議会報告

  • 島山 清史
    第365回(令和5年12月)定例県議会 代表質問(島山議員)

    ≪質問項目≫
    1,県政改革方針と「攻めの県政」について
    2,スポーツによる地域振興について
    3,物価高騰から県民生活を守る取組について
    4,阪神高速道路の料金改定と阪神高速道路株式会社の経営改善について
    5,脱炭素型ライフスタイルへの転換~地球温暖化1.5℃未満目標に向けて~
    6,帯状疱疹予防ワクチン接種助成制度の創設について
    7,不登校児童生徒の居場所確保について 1,校内サポートルーム等の設置と充実に向けた支援について 2,フリースクールに通う不登校児童生徒への支援について



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1,県政改革方針と「攻めの県政」について

    (島山県議) いよいよ、大阪・関西万博まで500日を切った。会場建設費の拡大やパビリオンの準備の遅れなど、心配の声も上がっているが、兵庫県としては誘客による経済効果を最大化し、フィールドパビリオンの土台を築きあげていく必要がある。来年度、地域創生基金を活用し、令和5年度の2.5倍となるソフト事業に5億円を予定しているが、一部事業内容によってハード事業への活用も検討する必要があるのではないか。
    令和4年度決算は、実質収支約60億円の黒字を確保し、財政基金残高も100億円を積み上げ、令和5年度も県政収入は当初予算を確保できる見込みとのことだが、分収造林事業や企業庁の地域整備事業会計の見直しにより、新たな後年負担の不安材料が明らかになった。当該事業の抜本的な改革が必要である。
    さらに、元町周辺再整備についても、出勤率4割とし既存庁舎で対応との方針を打ち立てているが、今当局が行っている「新しい働き方モデルオフィス」の結果次第では庁舎建設の必要性も出てくる。先日行われた神戸市選出の県議会議員に対する神戸市からの来年度の県に対する予算要望の場で、改めて、久元市長から元町再整備に向けた兵庫県のビジョンを早急に示してほしい旨の要望があった。
    神戸市ではウォーターフロントや三宮の再開発に加え、神戸空港の国際化などにより、新しく生まれ変わろうと躍動している。兵庫県も足並みを揃えて元町再整備に取り組むべきではないか。
    今回「攻めの県政」として打ち出された施策は県政改革方針で打ち出している3つの基本姿勢①オープンな県政の推進、②「誰も取り残さない」県政の推進、③県民ボトムアップ型県政の推進と照らし、どのように考えているのか伺うとともに、令和6年度に向けて「攻めの県政」をどのように展開しようとしているのか所見を伺う。

    (斎藤知事) 「攻めの県政」の推進にあたっては、県政改革で掲げた3つの基本姿勢で臨んでいる。1つが、約400団体で協議会を組成し推進しているフィールドパビリオン、それからプロスポーツチームと連携したスポーツの振興は、民間との連携を広げる「オープンな県政」を具現化するものである。2つめとして、特殊詐欺被害、さらには不登校対策等の強化は「誰も取り残さない」県政の取組である。また、3つめとして、教育費の負担軽減、県立高校の環境充実、さらには、不妊治療の支援等は、現場を訪れて、県民の皆様と直接対話する中で寄せられた声を踏まえた取組で「県民ボトムアップ型県政」の象徴的なものである。
    令和6年度に向けては、まずは若者Z世代支援を重点に置いてまいりたい。すでに県立大学の授業料等無償化を打ち出している。今後奨学金の返済支援、国際教育の充実、若い世代の住宅確保支援策なども、順次具体化していきたい。
    あわせて、高齢者の安全安心な暮らしをまもるということも、大変大事だと思っている。特に特殊詐欺被害については、過去最悪のペースで今年度も増加しているので、高齢者の財産のみならず心を守るという観点から特殊詐欺被害対策もしっかりやっていきたい。また、自転車事故を防ぐ対策としてのヘルメットの購入支援も集中的に実施していきたい。先日、ユニバーサルなお宿も発表したが、高齢者や障がいをお持ちの方が、安全安心にリラックスして楽しめるユニバーサルツーリズムも推進していく。
    フィールドパビリオンについては、引き続き磨き上げを加速すると共に、受入環境整備も促進していきたい。元町の再整備は神戸市等とすでに研究会を設けて議論を進めている。4割出勤のモデルオフィスの検証結果を踏まえて、今後庁舎のあり方については検討していく。分収造林事業や地域整備事業会計について課題解決を目指していきたい。



    3,物価高騰から県民生活を守る取組について

    (島山県議) 今般、政府が決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」には、各地域の実情に合わせて、きめ細かな支援策を進めることができる「重点支援地方交付金」の予算が我々公明党の強い主張で実現した。この交付金を効果的に活用し、物価高騰から県民生活を守り、経済の着実な回復を図る必要がある。
    これまで我が会派では3月20日にエネルギー価格高騰・物価高騰対策に関する知事への緊急要望として、食料品等の物価高騰に苦しむ一般家庭や中小企事業者等を支援するための「はばタンPay」等を活用したプレミアム付き商品券の発行や国の激変緩和対策の対象外となっていたLPガスを利用している一般家庭に対する負担軽減策など、一貫して具体的な物価高騰対策を提案してきた。
    この9月11日から「プレミアム付きデジタル券 はばタンPay+(+)」が利用できるようになり、今日までに延べ76万2千人の方が申込み、県内の約14、000の店で利用できるようになっている。また、最近、事務局が実施したアンケートでは「次回、当キャンペーンを企画した場合、また買いたいと思いますか」の問いに、ほとんどの利用者が「次回のキャンペーンでも買いたい」と回答していると聞いている。
    こうした県民の声と現下の深刻な物価高騰の状況受け、我が会派は11月24日斎藤知事に対し「物価高騰対策と経済再生に向けた対策」を求める緊急要望を行い、第3弾となるプレミアム付きデジタル券「はばタンPay+」の実施やLPガスを利用している一般家庭に対する負担軽減策、物価高騰で苦しむ中小事業者や医療福祉事業所等への一時支援金を再度実施することなどを要望してきた。
    今定例会で提案された補正予算案にはこうした我々の提案が盛り込まれており高く評価する。そこで第1弾・第2弾のプレミアム付きデジタル券「はばタンPay+」について、どのように総括し、今回の第3弾でどのように活かそうとしているのか、また、今回の補正予算案などを通じてどのようにして県民の暮らしを守り、地域経済の下支えをしていくのか。

    (斎藤知事) これまで物価高騰対策として、食料品等相次ぐ値上げを踏まえ、「はばタンPay+」による家計支援を二度にわたって実施した。一般枠は当初の枠を上回る申し込みがあった。子育て応援枠については50%のプレミアムだが、一般枠ほどではなかったが、18歳以下の子どものいる世帯の約半分の世帯からの申し込みをいただいた。利用者アンケートでも、約9割の方々が「知り合いにも紹介したい」とか、大変高い評価をいただいた。一方、県民への周知や特に高齢者へのサポート、ここは大変改善が大事だと思っている。
    今回要望頂いたとおり、「はばタンPay+」第3弾は、1年のうちでも出費がかさむ春の新しい新生活準備期間にあわせて、ニーズの高い一般枠に絞って実施させていただく。すでに申し込んだ人も、いわゆるおかわりができる。実施にあたっては、これまでの結果を踏まえ、高齢者などのスマホ使用に不慣れな方に向けてのサポート体制に引き続き意を用いる。20代向けターゲット広告による認知度向上に努め、物価高騰対策をしっかりやっていく。
    加えて、今回の補正予算では、特殊詐欺被害対策を強力に推進するため、自動録音機能付電話機の購入支援補助を大幅に拡充する。そのほか家庭用LPガス利用負担軽減対策などを通じて、県民生活の安定化を図ると共に、事業者に対しては、伴走支援や一時支援金など、経営支援を強化する。こうした取組を通して物価高騰対策をしっかりやりながら、事業効果が発現できるよう留意していく。

    (島山県議コメント) 我々は「はばタンPay+」については、特に力を入れているので、第3弾を実施する上で、紙媒体はなかなか難しいが、デジタル社会への導入の一歩となるように、特に高齢者がアプリを使えるようなサポートをさらに第3弾ではしていただきたい。



    5,脱炭素型ライフスタイルへの転換~地球温暖化1.5℃未満目標に向けて~

    (島山県議) 兵庫県では、昨年、2050年カーボンニュートラルを目指し、地球温暖化対策推進計画を改定し、2030年度の温室効果ガス削減目標について、国の目標を上回る48%削減としている。この目標達成に向け、県民、事業者、団体、行政等が一体となり取り組む必要があるが、政府や企業が主に担うエネルギーシステムの転換などの供給側の対策についての議論は行われている一方、県民や地域に具体的に何ができるのかについての情報は十分ではないか。
    県民の暮らしを支えるために、ライフスタイルに関連して排出される二酸化炭素(CO₂)など温室効果ガスは、全体の約6割を占めていると言われている中で、脱炭素型ライフスタイル(気候変動への影響を小さくする持続可能なライフスタイル)への注目が高まっている。これまでの対策の中心であった再生可能エネルギーや移動手段だけでなく、食生活、衣類などの消費財の購入も含め、市民の暮らしを支えるあらゆる製品やサービスは、その製造、輸送、使用から廃棄までの間に生じる温室効果ガスを排出している。これらの消費のあり方を見直し、脱炭素型の製品やサービスを利用していくことが、温室効果ガスを削減する持続可能なライフスタイルに繋げ、社会全体に広がることで温室効果ガス削減へのインパクトになる。
    そのためには、個人のカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)を可視化する必要がある。一般社団法人コード・フォー・Japanではカーボンフットプリントの可視化と削減を支援するWebアプリ「じぶんごとプラネット」を開発した。このWebアプリでは、移動・住居・食・モノとサービスに関するそれぞれ10個程度の簡単な質問に答えることで、誰でも無料で自分の生活スタイルから生じるカーボンフットプリントと自分に合った脱炭素アクションを知ることができる。
    神戸市ではこのアプリを活用し、12月15日から「こうべ省エネチャレンジ2023」を実施し、参加者には協賛企業等から記念品等をプレゼントするなどし、脱炭素型ライフスタイルへの転換を広く進めようとされている。
    兵庫県では、地球環境戦略研究開発(IGES)監修のもと、行動変容を促す県民参加型ワークショップ「1・5℃ライフスタイルプロジェクト」を行っており、令和5年度には神戸市婦人団体協議会、ひょうご大学生支援機構など計6回の開催を予定し、約70名の参加が見込まれているが、まだまだ限定的だ。社会全体で脱炭素型ライフスタイルの転換が見られるよう、これまでの県の取組や神戸市で始まった取組などを拡大・加速化する必要があるのではないか。国連の報告によると温室効果ガス削減の取組は待ったなしである。未来に責任ある政治を果たすためのも、さらなる取組が必要である。考えを伺う。

    (斎藤知事) 県内のCO2排出量は、産業部門等が約7割を占め、家庭部門は約1割である。住居、自動車、食品等の消費に着目すれば、家庭の影響は大きい。そのため、議員ご指摘の通り、脱炭素型のライフスタイルへの転換が必要である。企業をはじめ社会全体でのCO2からの脱却の促進にもつながっていく。
    住居に関しては「うちエコ診断」を年間約1、000世帯で実施し、太陽光発電等への買い替え補助等を実施してきた。内窓や複層ガラスの断熱工事への支援等を促進していく。また、バスやタクシーの水素自動車への転換を支援するなど、公共交通機関の脱炭素化も進めていく。食品に関しては、カーボンフットプリントの実証ということで、今年度から生産者等と連携し、消費者に身近なお米等の農産物等を対象に実証を始めている。
    県民の意識醸成に加えて、脱炭素型製品が消費者に選択されるよう、普及啓発も実施していく。コウノトリ育むお米でのブランディングの先進事例も参考にして、分かりやすい情報発信や意識啓発を実施していく。

    (島山県議コメント) 県民運動として、ライフスタイルプロジェクトという県がやっている取組を、もっとしっかりやっていただきたい。兵庫県も「SDGs未来都市宣言」ということで、SDGsというと、たくさんのターゲットがあって計画がある。その中でも、この気候変動というのは基盤となるターゲットというか、目標になる。ここの部分をもっと優先的に県としてもやるうえで、今聞くところ、ライフスタイルプロジェクトの予算というのは年間700万円くらいと聞いていますので、大幅に上げて、今、新聞でも本当に取り上げられている中で、もう少し県民運動として押し上げていくような取組を、知事のリーダーシップで期待している。



    6,帯状疱疹予防ワクチン接種助成制度の創設について

    (島山県議) 帯状疱疹予防ワクチンについてだが、我が会派は、これまで4度にわたり質問し、要望してきた。初めて質問した令和4年度9月時点では、全国で助成制度を導入していたのは約30自治体。しかし、今年10月末時点では326の自治体が助成制度を導入している。帯状疱疹の症状のつらさや発症率の高さから、全国で帯状疱疹に関心が高まっており、接種費用の負担軽減を図ってほしいという地域住民のニーズにこたえた自治体が、この1年余りで10倍以上にまで増加している。
    全国都道府県のなかでも東京都は、先進的に今年度から補助事業を実施している。ほぼすべての市区町村が接種費用の半額程度を助成している。その中で、例えば港区では実施理由として「コロナ禍以降、心身ストレスにより免疫が低下し帯状疱疹を発症している人が増加していることから、発症の予防とともに区民の負担軽減を行うため」としている。
    同様の理由で、10月12日には兵庫県町村会から「令和6年度兵庫県予算及び施策に関する要望」において「帯状疱疹ワクチン予防接種に対する県独自の補助制度の創設」が要望されている。
    11月23日の朝日新聞によれば「急増する働き盛りの帯状疱疹 発症率約2倍に増加」との記事もある。国の制度創設を待つだけでなく、ぜひとも本県として、高齢化社会、ストレス社会における県民の健康増進とQOLの維持のため発症リスクの高い帯状疱疹を予防し、県民の負担軽減を図っていくためにも帯状疱疹予防ワクチン助成制度の早期導入を求めるが、考えを伺う。

    (片山副知事) 国では、地方交付税措置のある定期接種化の検討はされているものの、11月に行われた国の審議会では、引き続き費用対効果等について議論をおこなうとされ、結論は出ていない。ワクチン接種は、基本的に市町が対応するべきものと判断している。このため、県独自での助成制度を行う場合は、県が先導的に行うのではなく、市町への財政支援として取り組むのが適切ではないか。
    現在、県内で帯状疱疹ワクチンの助成を行っているのは、2町のみであるものの、県町村会から新たに帯状疱疹ワクチン助成についての要望をいただきたいこと、さらに、今回再度要望をいただいたことから、国の動向も注視しつつ、市町への財政支援の必要性について検討していきたい。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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