議会報告

  • 篠木 和良
    第353回(令和3年2月)定例県議会 一般質問(しの木和良議員)


    ≪質問項目≫
    1、「21世紀兵庫長期ビジョン」の位置づけについて
    2、分散型社会の構築について
    3、市街化調整区域を事実上廃止することについて
    4、新型コロナウイルス感染症疑いの患者の受け入れに関する大阪府との連携について
    5、人工がけに対する県の取組について

    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、「21世紀兵庫長期ビジョン」の位置づけについて

    (しの木県議)知事は、時代が大きく転換し、難局を迎えようとするときこそ、その壁を未来への扉に変えていかなければならない。その第一歩が将来のビジョンを描き、進むべき道を人々が共有することではないでしょうか、と冒頭で述べられている。その上で、目標なくして実現なし。新たな価値を生み出し、人の絆と豊かな自然の中でほこりをもって暮らせる兵庫を築いていくため、県議会の議決を経て改訂されたものが現行の長期ビジョンである。
    このビジョンは、、行政の事業量を示す「計画」ではなく、多様な主体が共有する「ビジョン」「望ましい社会の姿」だということである。そうだとしても、私はその姿に向けて行政が戦略・手段を講じていく施策体系の頂点にあるべきものと理解している。
    このビジョンが改訂された4年後の2015年(平成27年)、わが国の社会は出生率が低下、存続できなくなる恐れがある消滅可能都市も全国自治体の半数近く発生し、東京も自滅することが想定されるなど、わが国を持続する上での様々な課題が顕著となった。ビジョン改訂時よりも更なる転換期を迎えた。
    そこで兵庫県でも、同年に全国に先駆けて地域創生条例を制定し、地域創生戦略も策定したところである。社会及び行政施策が大きく変わる時に、長期ビジョンの見直しではなく、地域創生戦略の中で2060年における兵庫県の目指すべき姿を展望しつつ、自然増・社会増の人口増対策、地域の元気づくり対策を戦略目標とし、5年間で取り組むべき対策が定められた。また、2018年(平成30年)には、県政150周年の節目に合わせて「兵庫2030年の展望」が策定され、「すこやか兵庫」の実現を目指すことをその姿とし、そのための先駆的な取り組みを「リーディングプロジェクト」に設定し、市町・企業・大学・団体等と連携してその具体化に着手することとされた。
    そして、地域創生戦略が2019年度に期間終了となることから、第2期地域創生戦略が策定されたが、その戦略の推進にあたっては「兵庫2030年の展望」の「すこやか兵庫」を実現するための、前半5か年の実施計画としての性格を有するものとされている。
    すなわち、第2期地域創生戦略は「兵庫2030年の展望」で目指される姿が目標となっているもので「目標なくして実現なし」とされた「21世紀兵庫長期ビジョン」が、その目標となっていないのではないかと疑問に感じるところだ。新年度、「21世紀兵庫長期ビジョン」が改訂される予定となっているが、なぜ2015年の地域創生が具体化となるときに前後して改訂されなかったのか、、地域創生戦略や2030年の展望では、同ビジョンとの緊密性がないように思われるが、そのような重要な県政の実施計画にあたる計画に関与していない「21世紀兵庫長期ビジョン」を見直す必要性について所見を伺う。

    (井戸知事)地域創生戦略は、ビジョンの実現に向けた具体的な取組を示す計画であるが、急速に進む人口減少と東京一極集中への危機感から地域の元気づくりと人口の自然増・社会増対策を戦略的に展開するために策定したものであり、県の計画の中ではターゲットを明確にした計画ということになっている。
    ビジョンでいうと、ビジョンの策定からご指摘もあったように20年経った。改訂してから10年経っている。世界も日本も激変してきているので、今のビジョンが2040年頃を一つの目標としたので、今回改訂から10年経ったこともあり、2050年頃までの長期の視点を持って県民とともに兵庫の未来を考えてみる、そういう時期に来ているのではないかと思っている。こうした認識から新ビジョンの検討に着手した。その矢先にコロナの襲来に見舞われた。私たちの社会はさらに変革が迫られている。今こそそこの大きな変化の行方を見定めて、長期的な兵庫づくりの方向性を県民とともに改めて確定していかなければならない時期ではないかと考えている。
    すでに若手有識者の研究会を開催しているが、そこで社会潮流の大きな流れを調査研究し、個性の追求、開放性の徹底、集中からの分散へといった方向性を示す将来構想試案を取りまとめていただいている。この試案をたたき台に今後新ビジョンをさらにブラッシュアップしていく、検討していくことになる。

    (しの木県議(再質問))私がお聞きしたいのは、そういう本来の位置づけにもかかわらず、地域創生戦略という東京一極集中をなんとか多極化するような方向で次代を変革しなければならない、社会を変えなければならないというような要請があって地域創生戦略ができたときに、本来であればその結果できる兵庫の姿というのは変わるべきはずであって、その変わるべき姿も当然見直しをしなければ、県民も含めてそれを共有する形で施策を進めていくということができないのではなかったのかなということをお聞きしたわけである。

    (井戸知事)地域創生戦略は、東京一極集中の是正を目標とした人口対策と地域対策を具体的に示した、ターゲットを絞った、目標をより具体的に絞った計画であるので、そのような意味では地域創生戦略の実現方向の究極にあるのは、2040年頃のビジョンで想定した兵庫の姿の実現の一つの過程である、このように位置づけられる。
    ただ、ビジョンとの関連性を地域創生戦略の策定の段階において明示していなかったので、議員のおっしゃっておられるような分かりにくさが生じたということなのではないかと現時点では反省をさせて戴く。地域創生戦略は短期の目標をターゲットを絞った実施戦略だとご理解いただければと思う。

    (しの木県議 (コメント))頭の整理として、やはりこういう重要な構想・ビジョンというものと具体的な施策というものが一致していなければならないのではないかなということを認識した上で、これから作成されるビジョン・基本構想を県民行政の共通認識として、それが一番施策等を進めていくべき基本となるものだということを共通の認識としていただきますよう。



    3、市街化調整区域を事実上廃止することについて

    (しの木県議)市街化調整区域制度が地域の発展を阻害している旨の質問をこれまで行い、平成26年2月本会議以来の質問となる。当時のまちづくり部長から、厳しい土地利用規制が地域の活力低下を引き起こしているという認識のもと、地区計画制度の活用により、市街化調整区域の計画的なまちづくりを行っていく旨の答弁があった。
    この制度運用により、地元猪名川町では大規模流通団地をはじめ活力あるまちづくりを推進されているところであり、また、同様の運用をする自治体も増えている。
    しかしながら、これはあくまでも、市街化調整区域内でのまちづくりの工夫である。自治体が都市計画決定で一定のまとまりのある地域を建築等規制緩和できるようになるが、個々の行為は従前のままである。個人の方が倉庫一つ建てることも基本的にできないし、事務所で使っている建物の一部を住民のために診療所にすることもできず、また、倉庫を違法改築し長年子供たちも巣立ち、近所づきあいもしていたお家を建て替えようとしたら、そこを立ち退かなければならなくなってしまう。
    もちろん都市計画法に基づく制度だからそのようになるのだが、地域創生によって地域分散型社会の構築を目指すことを考えた場合、やろうとしていることと、制度が全く反対の方向になっているのではないか。市街化調整区域の廃止を訴えた場合に、よく返ってくることが都市基盤整備が整わない状態で規制緩和すれば、また無秩序な開発が行われることになるからできないということだ。しかし、今、分散型社会を構築しようとすることは、まさにそのような民間の力を活用して以前に大都市周辺で開発されたエネルギーを今度は多極化するための地域で使おうとすることであり、反対に開発しやすくすることではないか。
    地域創生や分散型社会の構築といえども、行政がすべてを成しえるものではなく、これまでの経験からして行政が行うのはインセンティブであり、結果、社会を作るのは民間であり、住民の力を頼りとする以外ないのではないか。
    そのような意味でも、現行の都市計画法のもとで、事実上市街化調整区域を廃止するような動きを推進する必要があると考えるが所見を伺う。

    (出野上まちづくり部長)具体的には県が開発許可権を有する16市町の市街化調整区域おいて、市街化区域と同様に計画的なまちづくりができる地区計画区域を31地区、465haで決定している。また、市町が策定する土地利用計画をもとに建物の立地が可能な区域と用途を事前に明示する特別指定区域を都道府県レベルでは全国第1位の630地区、6243haで指定している。ちなみに第2位が群馬県で999haということで大きく上回っている。この結果、森林や優良農地等を除いた市街化調整区域の約8割において、住宅や事務所、特産品の加工・販売施設等、地域の元気づくりに資する施設の開発が可能となっている。
    また、農地等で行う開発では、まちづくり部の計画調整参事と農政環境部の農林調整参事が協調して相談対応等を行い、複雑な事案等の早期解決を図っているところだ。このような面的な規制緩和に加えて、個人や事業者による個別的な開発ニーズに対応する許可基準の整備も進めている。今年度は1つにはUJIターン者による既存住宅の取得、それから既存建物の福祉施設や診療所等への用途変更、既存事業所の敷地を拡張した作業場や倉庫等の増築ができるよう制度を拡充している。さらに、今般のコロナ禍を踏まえた地域分散型社会の構築のため、地区計画区域や特別指定区域の拡大を一層図るとともに、空き家を含めた既存建物の除却、そしてその跡地を活用する場合には、建物の用途や利用者の条件を緩和するなど民間ニーズに幅広く対応し、活力を引き出せるよう取り組んでいく。

    (しの木(再質問))いろいろ工夫しているということは、市街化調整区域が不都合になっている部分があるからだと思う。そういう意味で市街化調整区域を制度として廃止することは国の仕事なので、県ではできないが、県の方が実態としてなんとかその市街化調整区域がないものとできるような事実関係を作るということができないのか、ということが今回の質問である。市街化調整区域は市町と県とで指定していくわけで、その指定をはずす方向に県がリードしていけば、そういうことが可能なのではないか。

    (出野上まちづくり部長)線引きを廃止した他県の事例を見ると、人口が増加したというところもあるが、一方、逆に都市部の市街化区域内の人口が減少するというような都市計画区域も発生している。そういったところでは、一旦線引きを廃止したものの、用途制限を新たにその区域にかける、これを特別用途制限地域と申しますけれども、そういう区域を新たに指定して、用途制限を図っている。その用途制限を例えば、1回ではなく、2回、3回とやっている事例もある。そういった事例も見ながら土地利用コントロールというのがどうあるべきかを考えていきたい。線引き制度を維持しつつ、より具体的、現実的な対応を図っていきたい。

    (しの木(コメント))公務を司る者としては、しかたないとは思うが、何とか工夫をして分散型社会をつくっていく。多極化していくという、多極化した地域それぞれに栄える地域をつくっていくということから、考えたら、いろいろおっしゃっていただいたように、調整区域が非常に障害になっていることは明らかなので、駄目だということをカバーするような理屈を考えていただいているのかなと思うが、その中で少しでも挑戦をしていこうというふうな思いを持っていただきたいことを要望する。



    5、人工がけに対する県の取組について

    (しの木県議)私は以前から人の手が加わった急傾斜地も第一義的には、その所有者やその手を加えた人にその責任があるとしても、危険が放置されている場合、危険にさらされている住民にかわって県が対策工事を実施し、県が求償権を行使する方法がとれないかと提案してきた。当局からは、いまの法律上県が代行措置や代行後の求償権を行使することは難しいということだった。
    しかしながら、私はその人工がけ下に居住する人たちの危険度は、自然のがけ下に住む人達と何らかわることはないにもかかわらず、片や県は対策を行えず、他方では公共事業で備えを万全にするということは、やはり不合理だと感じていた。
    昨年度の政調会でも、このことに関して、再度議論をした結果、県土整備部長からの報告で「急傾斜地の崩壊による災害防止に関する法律」または「宅地造成等規制法」の規定による改善命令がだされた箇所で、その履行がされないときは、行政代執行法による代執行を行い、その費用を義務者から徴収できることがわかった。そこで、自然斜面などの土砂災害対策箇所が県全体で6500か所以上残っており、長年にわたる事業となっている一方で、人工斜面であっても崩壊の危険性が高まっている場合には、県による代執行の手段も活用し人家・人命を守ることが必要と考えるが、具体的にどのような要件が整えば代執行を実施するのか今後の取組について伺う。

    (服部県土整備部長)人工がけについては、急傾斜地法の規定により県による崩壊防止工事は施行できないが、「崩壊のおそれが著しい」等と認められる場合には対象がけの場所に応じて、急傾斜地法または宅地造成等規制法に基づき、県または市から土地所有者に崩壊防止工事を行うよう改善命令を発することができる。
    それでも義務者が命令を履行しない場合、県または市は最終手段として行政代執行法に基づき崩壊防止工事の代執行を行い、その費用を義務者から徴収することができる。代執行の要件は「不履行を放置することが著しく公益に反する」場合となっており、実際に崩落が生じ、二次災害の危険が著しいなど切迫している状況で代執行以外の方法では危険が回避できないことが条件となる。
    代執行の実施にあたっては恣意的な運用とならないよう、技術的・法的な具体の運用基準が必要になると考えている。急傾斜地法による代執行の事例は未だ全国的にもないが、いざ災害が切迫したときに迅速な対応ができるよう今後、国や土砂災害・行政法に精通した学識経験者などから意見を聞き、運用基準作りに取り組む。あわせて本県だけの問題ではないことから、国へも全国統一の指針作成を要望していく。また、所有者等に土地の保全にかかわる注意喚起をおこなうため、5月の「宅地防災月間」における宅地防災パトロールを実施するとともに、現地の変状をタイムリーに把握するために平時から地元市町との密な連携で危険情報の収集にも努めていく。

公明党・県民会議議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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